投稿

3月, 2023の投稿を表示しています

第310回 『人格論』の実践 〜 『to do』より『to be』 〜

 2023年3月30日早朝、藤井茂著『新渡戸稲造75話』(2011年発行)を再読しながら、恵泉女学園の創立者の河井道(1877–1953)と新渡戸稲造(1862-1933)を復習した。  『河井道の育ての親』の箇所には、「河井道は新渡戸稲造に、プリンマー大学の入学、卒業を援護してもらっている。 その後、河井道は学校設立の為に、国際連盟事務次長(1920-1926)の新渡戸稲造に相談にジュネーブにわざわざ行った。 その時に新渡戸稲造は、『君はこれから女学校でも創立すると、その経営に苦しんで終わり、理想とする教育には手を下しえないで果てるだろう。ほかにやる用事はたくさんにあるから、思いとどまれ』(『新渡戸博士追悼集』の河合道の文章)と言っている。 しょげて日本に帰国した河井道でしたが、あきらめきれませんでした。 そして丁度1928年、新渡戸稲造は 台湾在住の男性からの現在の700万円の寄贈を辞退して、台湾在住の男性に『資金繰りに困っている河合道に寄付金として送るよう』伝えた。 そして1929年恵泉女学園創立した。」とある。 不思議なタイミングである。  帰宅したら、湊晶子著『現代を生かす新渡戸稲造の人格教育』(2023年3月20日 キリスト新聞社発行)が湊晶子先生(東京女子大学の学長を歴任;2002-2010)から送られて来ていた。 湊晶子先生は今年91歳とのことでる。 感動した。  【第一章『生い立ちと年表に見る新渡戸稲造の生涯』の『日本のため、世界のためにささげた生涯』(①札幌農学校教授時代 ②静養中の不朽の名著―『武士道 日本の心』 ③日本の教育と世界平和のために)、第二章『現代を生かす新渡戸稲造の「人格と公共」の精神』の『「人格論」の教育における実践』(①「to do」より「to be」を重んじる教育 ②人の心をリベラライズ(自由)し、エマンシペイト(解放)する教育 ③責任ある個の確立する教育)第三章『キリスト教に立脚した新渡戸稲造の女子人格教育』の東京女子大学の初代学長として:建学の精神『犠牲(Sacrifice)と奉仕(Service)』、第五章『2022年度キリスト教学校教育同盟第110回総会講演の『21世紀、日本のキリスト教学校に求められる使命と課題』、『これからのキリスト教学校に期待すること』】は、特に学びとなった。  筆者の『がん哲学 〜 がん細胞か

第309回 『動機の誠実さ』 〜 『不屈の忍耐力』 〜

 2023年3月24日 東久留米ジョナサンで、吉川氏、相田氏、樫本氏と、4人で『楕円形の心』の単行本化の話で大いに盛り上がった。【著書『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年発行)出版20周年記念として『楕円形の心』単行本 〜 精神的デフレが進む現代 & 総合ビジョンを問い直す 〜】がタイトル案ではなかろうか!? 実現したら歴史的快挙となろう! 楽しみである。 不思議な『不連続の連続性の時の流れ』を痛感する日々である。  3月25日は、多摩の恵泉女学園大学に赴き、帰りに学長と事務局長と3人で、多摩市役所で、阿部裕行市長との面談の時が与えられた。 12年前であろうか!? 阿部裕行市長と一緒に、講演をしたのが鮮明に想い出された。 この度、『30年後の多摩を考える会』が立ち上がり、今秋、市民公開シンポジウム『居場所 〜寄り添い・つながり・ともに歩む 〜』が開催される予感がする。 筆者は、【パルテノン大通り、多摩市立グリーンライブセンター】散策し、何時も大いに心が癒される。 まさに『多摩の力』であろう!  3月26日は、2008年から継続している『東久留米がん哲学外来 in メディカルカフェ』(CAJに於いて)と2007年からスタートした『読書会』(East Sideに於いて)である。 今回の『東久留米がん哲学外来 in メディカルカフェ』では、ニュージーランドから面談者が来日されるとの連絡が入った。 驚きである。 読書会は、英語で書かれた札幌農学校(初代校長クラーク;1862-1886)の二期生の内村鑑三(1861-1930)の『代表的日本人』(鈴木範久訳、岩波文庫)と新渡戸稲造(1862-1933)の『武士道』(矢内原忠雄訳、岩波書店)を毎月交互に音読しながら行っている。 今回は【内村鑑三著『代表的日本人』の二宮尊徳の『能力の試練』の箇所】である。 4巡目であろうか! 継続性の大切さを実感する日々である。 【『不屈の忍耐力』、『荒地は荒地自身のもつ資力によって開発されなければならず、―― 』、『仁愛、勤勉、自助』、『真正の日本人』、『動機の誠実さ』、『最良の働き者は、もっとも多くの仕事をする者でなく、もっとも高い動機で働く者でした。』、】の復習である。【人生邂逅の3大法則 =『良き先生、良き友、良き読書』】の学びの時でもある。

第308回 良き読書 〜 心の蔵を豊かにする 〜

 2023年3月20日、恵泉女学園中・高等学校(経堂)での理事会・評議員会に赴いた。 廊下に朝日新聞(2023年3月18日)の『お気に入りの一冊をあなたへ 読書推薦文コンクール』の個人賞118名)の中に、中学生3名の名前があり、団体賞48団体にも選ばれた記事が大きく貼られていた。 3人の生徒さんの『読まれた本』を知りたいものである。 筆者は、2020年 国際医学連盟(世界約130カ国の医学生)で講演を依頼された時、学生は筆者のいくつかの著書を事前に読まれていた。『学校では、学ばないことの学びが目的』とのことであった。 大いに感動したものである。『涙とともに、パンを食べた者でなければ、人生の味はわからない』(ゲーテ;1749-1832)&『無邪気に喜んで、小さな事に、大きな愛を込める』(アルプスの少女ハイジ)を語ったのが 今回鮮明に想い出された。  また、札幌農学校の校長クラーク(1862-1886)、二期生の内村鑑三(1861-1930)、新渡戸稲造(1862-1933)のことも語った。 内村鑑三、新渡戸稲造の上にいた、新島襄 (1843-1890)、新島襄を支援した勝海舟(1823-1899)にも触れた。 内村鑑三が鬱的になった時、新渡戸稲造は新島襄に『内村鑑三を慰めてほしい』とお願いした。 悩んでいる時に手を差し伸べてくれる友達の存在は、極めて大切であることを述べた。 『良書を読み、有益な話を聞き、心の蔵を豊かにする』(新渡戸稲造)。 これが、真の学問の「器量」ではなかろうか! 新渡戸稲造が書いた1929年【大阪毎日新聞・東京日日新聞】(今の毎日新聞)『偉人には気体、液体、固体の3つのタイプがある』の記事を以前読んだことがある。  気体:ガス性に似て名声は広がっているが、接してみると大した印象もない人。  液体: 水が氾濫するように世間に一時の人気を得て、世の中に利益をもたらすが、総合すると後に残るものはない人。  固体: 芳しさはガスのように広がることもなく、水のように流れることもないが、その人自体に含蓄されており、近づけば近づくほど真価が感じられる人。 【固体は、樋野先生のようにブレない人ですね! 私は読書が苦手で知識も浅く、常に自信がなくブレブレになってしまいますが、人の心の片隅に染みるような人になれたら……と思っています】と微笑ましいメールを頂い

第307回 見えないもの 〜 湧きあがる恵み 〜

2023年3月16日 筆者は、1929年 新渡戸稲造から学んだ河井道(1877-1953)が創立した、恵泉女学園の9代目理事長として、3月15日の恵泉女学園高等学校(経堂)の卒業式に続いて、3月16日は、恵泉女学園中学校卒業式に赴いた。 卒業生の真摯な姿には大いに感動した。 まさに【だから、わたしたちは落胆しません。 たとえわたしたちの『外なる人』は衰えていくとしても、わたしたちの『内なる人』は日々新たにされていきます。 わたしたちの一時の軽い艱難は、比べものにならないほど重みのある永遠の栄光をもたらしてくれます。 わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。 見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。(コリントの信徒への手紙二4章16〜18)】 の心得であろう! また、卒業生一同で英語で下記を暗唱された。 大いに感激した。 The LORD is my shepherd; I shall not want.  He makes me lie down in green pastures.  He leads me beside still waters.  He restores my soul.  He leads me in paths of righteousness for his name's sake.  Even though I walk through the valley of the shadow of death, I will fear no evil, for you are with me; your rod and your staff, they comfort me.  You prepare a table before me in the presence of my enemies: you anoint my head with oil; my cup overflows.  Surely goodness and mercy shall follow me all the days of my life, and I shall dwell in the house of the LORD forever. (Psalm23) 『優雅な感情を養うは、他人の苦痛に対する思い

第306回 精神的デフレ 〜 総合ビジョンを問い直す 〜

 今年(2023年)は、著書『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年発行)出版20周年である。 20周年記念として 新刊【ブログ『楕円形の心』全集】の企画が進められている。想えば 『われ21世紀の新渡戸とならん』の【序文 ― つもりちがい ― 筆者は、夏休み、ふるさとの出雲大社に三日間、帰郷した。Wifeと閑散とした雨の出雲大社を散歩しながら、ふと入った、土産店で、『つもりちがい十ヶ条』という板札を見つけた。 1 高いつもりで低いのが教養 2 低いつもりで高いのが気位 3 深いつもりで浅いのが知識 4 浅いつもりで深いのが欲望 5 厚いつもりで薄いのが人情 6 薄いつもりで厚いのが面皮 7 強いつもりで弱いのが根性 8 弱いつもりで強いのが自我 9 多いつもりで少ないのが分別 10 少ないつもりで多いのが無駄 なるほどと、いたく感心した。 帰郷中は全日、雨であり、日本海の波も荒く、海水浴も、父の小舟を出して魚釣りにも行けず、子供たちは大変残念がっていたが、筆者にとっては、この『つもりちがい10ヶ条』との出会いは大いなる収穫であった。 まさに、大自然の中で「静思」するときが与えられた。ところでこの度、新渡戸稲造(1862~1933)没後70年および世界に誇る癌病理学者吉田富三(1903~1973)生誕100年を記念してイーグレープより『われ21世紀の新渡戸とならん』のタイトルで本が出版されることになった。 この本は筆者が日本学会事務センターの広報誌『Scientia』に連載した文章を集めたものである。 興味と関心をもって読んで頂いた人が、少なからずいたようである。 これこそ まさに予想外であり、『つもりちがい』である。―― 】と記述されている。 新刊が『精神的デフレが進む現代 & 総合ビジョンを問い直す = 貴重な学び』の機会になれば望外の喜びである。

第305回 継続性のある活動 〜 『すべて時にかなって』 〜

 このたびブログ『楕円形の心』全集の製本化が決定された。 今回は第305回である。 継続の大切が身に沁みる。 先ずは、第1巻(第1回〜第100回)の作成であろうか! 涙無くして語れない! 特に下記のタイトルが鮮明の想い出された。 第100回 「かけがえのない存在」 ~ 価値観の共存~ 第98回 継続の大切さ~『「あらかじめ」から「更に」』の実感 ~ 第89回 直面する課題 〜 『もしかすると この時のためかもしれない。』 〜 第87回 忍耐をもって 走り続けよう 〜 真に勇敢なる人 〜 第85回 『すべて 時にかなって 美しい』 〜 「人格的な 励まし」 〜 第80回 「誠実な感謝」〜「冗談を本気でする」〜 第79回 賢明な胆力 〜 不思議な出会いの連続 〜 第72回 「清廉な生きざま」〜 「品性を建つにある」 〜 第59回 新渡戸稲造・矢内原忠雄の器量・度量・胆力 〜「光がみえた」〜 第49回 『悠々たる、広々とした俯瞰的な病理学』〜 風貌を診て『個性を引き出す』〜 第46回 「30メートル後ろからの 見守り」 〜継続性のある貴い活動〜 第44回 手をさしのべる 〜 『個性を引き出す』温かい人間としての関係 〜 第38回 「利己的で ハッピーな人よりも、利他的で ジョイフルな人の方が 人生は輝く」 第34回 『真の社会資源』〜『どんな時も、見守って 助けてくれる存在』〜 第28回 『新渡戸 山脈 』〜『多面的な、高邁なる識見』〜 第27回 『教育は人生の扇の要』〜「ぶれぬ人物のモデル」〜 第19回 新渡戸稲造の姿勢 〜 相手を思いやる心 & 慈愛の心 〜 第15回 人生は階段を登る如く〜人生の岐路に直面する時の出会い〜 第11回 『リーダーの清々しい胆力』〜 包容力を備える 〜 第7回 「楕円形の心」 じっくり対話する <心の診療室> ~『がんと生きる哲学』~ 第2回 『何があっても、いつ、どこにあっても なくてはならない人に おなりなさい』 第1回 新刊『がんばりすぎない、悲しみすぎない。』〜 心の奥底からの信頼と愛 〜  今朝は、精神科医、心理学者のヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl,1905-1997)の『夜と霧』を拝読し『悲劇の楽観主義 = 生きることの意味 = ロゴセラピー = がん哲学外来』の貴重な原点回帰の学びの

第304回 『万座の旅』 〜 平和を導く途 〜

イメージ
 2023年3月4日Wifeと、【ひばりヶ丘→池袋→大宮→軽井沢】に赴いた。 軽井沢で昼食後、散策した。 大勢の観光客であった。 そして、軽井沢駅南口から万座温泉日進舘のバスで、浅間山を眺めながら 雪の積もる標高1800メートルの万座に到着した。 夕食会は、市村雅昭氏が【『諸先人の方々(下記の5名)の記念年を祝う』と『樋野先生の誕生日(3月7日)お祝い』】を企画された。 ただただ感謝である。  今年は、 吉田富三(1903-1973) 没後50年・生誕120年記念 新渡戸稲造(1862-1933)没90周年 勝海舟(1823-1899) 生誕200周年 矢内原忠雄(1893-1961)生誕130周年 河井道(1877-1953) 没70周年 でもある。   東京都、神奈川県、千葉県、群馬県、長野県からも参加して頂き、涙無くして語れない。 夕食後、講演『自分のオリジナルで流行をつくれ 〜 先人をたどる意義 〜』の機会が与えられた。 3月5日朝食後、wifeと気温マイナス4度の万座を散策した。 その後『がん哲学外来カフェ』に出席した。 筆者は2組の個人面談も行った。 市村雅昭氏によって筆者のブログ【第300回『楕円形の心』】の【『多様性のある居場所』〜『人生から期待されている存在』〜】が音読された。 大いに感激した。 『楕円形の心』は、今回は第304回である。 週1回執筆している。 本当に継続の大切さが身に染みる日々である。 午後、バスで軽井沢駅に向かい新幹線で帰京した。 大変貴重な忘れ得ぬ『万座の旅』となった。  3月6日は 新渡戸稲造から学んだ河井道が初代学園長である、恵泉女学園の9代目理事長として恵泉女学園大学に赴いた。 帰宅したら 南原繁(1889-1974)の1952年6月15日の山梨県甲府での講演『世界的危機と日本の独立』の山梨日日新聞の記事【忘れてならぬ尊厳〜日本人の道を説く南原氏〜】、山梨時事新聞の記事【平和を導く途は〜南原前東大総長講演会〜】が、岩間孝吉先生から【山梨県立図書館のマイクロフィルムから複写してきました】と送られていた。 感動した。

第303回 common sense(社会常識)を備え持つ 〜 柔軟性のある人格者 〜

 2023年2月28日、山梨英和大学(山梨県甲府市)の大久保絹先生から『チャペルだより』(3月16日発行予定)の原稿が送られてきた。 2022年10月19日山梨英和大学での講演『2022年度 山梨英和大学 半日修養会講演『自分の力が人に役に立つと思うときは進んでやれ』】が、掲載されるとのことである。 心温まる配慮には大いに感動した。 本当に良き想い出となった。  【1919年パリ講和会議が開催されている頃、『スペインかぜ』がフランスでも猛威をふるっていて、パンデミック(世界流行)で、感染者6億人、死者4000〜5000万人にも達したと推定されている。 以前に聞いたものである。 その時、新渡戸稲造はパリにいて、その後、国際連盟事務次長(1920〜1926)に就任している。 トーマス・カーライル(Thomas Carlyle;1795-1881)の影響を受けた新渡戸稲造は、「common sense(社会常識)を備えもった柔軟性のある人格者」と謳われている。 「コロナ時代の生き方」が問われている現在、「新渡戸稲造なら、何と語るのであろうか?」の静思の日々である。 ―― 思えば、私の最初の本は、2003年11月10日発行の『われ21世紀の新渡戸とならん』である。『高度な専門知識と幅広い教養』&『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む』は、教育者の務めであろう。】と述べたものである。  【『夕闇に飛び立つミネルバの梟』は、ドイツの哲学者ヘーゲル(1770-1831)の言葉である。 『夕闇に飛び立つ』とは、『物事が解決してから 偉そうな口をたたく人:後追い』である。 傍観者にならない『朝方に舞い上がるミネルバの梟』の姿勢が大切ではないか! 大いなる人物や収穫物というのは、存命中に実を結んだものだけではない。 故に後世に生まれた我々がこれを『温故』し『創新』することによって 現代に貢献できる。 これは『勇ましき高尚なる生涯』である。『勇ましき高尚』の『高尚』とは、人のために我を忘れてやることであり、『勇ましき』というのはイエスかノーかをはっきり言えることだ。】が鮮明に思い出される日々である。 2023年3月1日は『ヨブ記』について、出版社との面談を行う。 新刊が実現したら歴史的快挙となろう! その後、『南原繁研究会』の代表を務める筆者は、Zoom『南原繁研究