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第187回 「内村鑑三・新渡戸稲造・岡倉天心」 〜『真の国際人』〜

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 恵泉女学園の理事会に赴いた。  大変有意義な時であった。  「俯瞰的に、森を診て、木の皮まで診る、3年先でなく、10年先を語る!」の学びの時であった。    第3号『天空デイサービス万座』ニュースレター(雑⽤・編集⻑ 森尚⼦ 氏)と 第17号『明日を考え会 〜 次世代の社会貢献 〜』(編集人:田口謙治 氏)ニュースレターが 送られてきた。   大いに、感服した。  筆者のタイトルは、それぞれ、『心温まる、胆力ある決意 〜 懸け橋とならん! 〜』&『人生は開いた扇の様である 〜 ユーモア (you more) 〜」であった。  今週(2021年2月24日)、『柏がん哲学外来』(柏地域医療連携センター に於いて)に赴いた。  個人面談は、大変貴重な時であった。  終了後、スタッフと 有意義な昼食の時をもった。  『岡倉天心 記念 がん哲学外来・巣鴨カフェ「桜」 』代表の 山本ひろみ 氏も参加され、岡倉天心(覚三)著『茶の本』(村岡博 訳 1929年)で、大いに盛り上がった。 「読書会」を開催される予感がする。  筆者は丁度20年前(2001年)を拝読したものである。 「個人を考えるために 全体を考えることを 忘れてはならない」 「おのれを虚にして 他を自由に入らすことのできる人は、すべての立場を 自由に行動することが できるように なるであろう」 の文章には20年前(2001年)に 赤線が 引いてあった。  7月17日『岡倉天心 記念 がん哲学外来』2周年記念シンポジウムが企画されるようである。まさに、「速効性と英断」である。  筆者は、2007年から、内村鑑三 (1861-1930)の『代表的日本人』(1894年)、新渡戸稲造 (1862-1933)の『武士道』(1900年)の読書会を毎月1回行っている。3巡目である。  何回読んでも心に染み入る。  内村鑑三 著『代表的日本人』、新渡戸稲造 著『武士道』、岡倉天心(1863-1913)の『茶の本』(1906年)は ともに英語で書かれ、日本の文化・思想を西欧社会に紹介したものである。  英語で、日本(人)を深く、広く、丁寧に 海外に紹介出来た人物は、この 3人 ではなかろうか!  この3人は、「英語力 と 教養」を備えた 明治以降の 日本が誇れる人物である。  明治時代の3人の 「格調高い英語力」と「深い教養

第186回 社会で生きるコツ 〜「新しいことを見いだすチャンス」〜

今週(2021年2月16日)、新聞記者の取材を受けた。  想えば、同じ記者から 2005年、筆者が 順天堂大学で『アスベスト・中皮腫外来』の開設、2008年『がん哲学外来』の開設の時も 取材を受けたものである。  不思議な出会いと 時の流れである。  「真のがん研究者」の基本精神は、「先楽後憂ではなく、先憂後楽であるべき」であると語ったのが、鮮明に蘇ってきた。  今回は、「コロナショックの蔓延化の日々、新型コロナウイルスの“ある”社会で生きるコツ」であった。  「コロナ疲れ」、「コロナ適応障害」という言葉も 広まっているようである。  『いじめ』問題が 指摘されている。  外面より 内面を重視し「愛を以てこれを貫く」訓練の時ではなかろうか!   1933年3月3日に 三陸で地震の大災害があったと記されている。  その時、 新渡戸稲造(1862-1933)は 被災地 宮古市等沿岸部を 視察したとのことである。  その惨状を 目の当たりにした 新渡戸稲造は「Union is Power」(協調・協力こそが力なり)と 当時の青年に語ったと言われている!  今にも生きる言葉である。  時代の波は 寄せては返すが「人の心と 歴史を見抜く 人格の力出でよ!」である。  勝海舟(1823-1899)の『世間の騒擾に一喜一憂せず「綽々たる余裕」』で「過度な不安の風貌」を示さず 「最善を尽くす胆力」が「真のリーダー」であろう!  いつもと 変わらず 「ブレない人物の訓練」こそが、まさに「コロナ時代」の実践ではなかろうか!  筆者は、「日本国のあるべき姿」として「日本肝臓論」を展開している!  日本国=肝臓という「再生」論に、行き詰まりの日本を打開する具体的なイメージが 獲得されるであろう!  人間の身体と臓器、組織、細胞の役割分担と お互いの非連続性の中の連続性、そして、傷害時における全体的な「いたわり」の理解は、世界、国家、民族、人間の在り方への 深い洞察へと誘うものである!  政治的・経済的な問題と、人間の問題を 合わせて考える 時代には「はしるべき行程」と「見据える勇気」が大切である。  「1.幅の広さ  2.弾力性に富む  3.洞察と識見のひらめき」の学習の時でもある。  「コロナ時代を生きるコツ」は、「3年後、10年後、20年後に『もしかして あのときの苦難は、このときのた

第185回 ゲーテ と シュヴァイツァー の学び 〜 「人格的出会い」〜

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  コロナ時代、自粛の時間は、若き日の読書の回帰であろうか!  今回は、ゲーテ(1749 - 1832)と シュヴァイツァー(1875 - 1965)の復習であった。  ゲーテは、「ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者(色彩論、形態学、生物学、地質学、自然哲学、汎神論)、政治家、法律家」、シュヴァイツァー は、「ノーベル平和賞受賞者。  ドイツ出身。  アフリカでの地域医療に尽力した人物。  医師としてだけでなく、神学者・哲学者や音楽学者としての一面も持っていた。」と紹介されている。  筆者は、癌研時代の恩師の菅野晴夫 先生 (1925 - 2016) からゲーテの話を聞いたものである。  『アルプスの少女ハイジ』のスイスの作家 ヨハンナ・シュピリ(1827 - 1901)は、ゲーテを、こよなく敬愛した。  「ハイジ、クララ」の「自己形成小説」である。「涙ともに パンを食べた者でなければ、人生の本当の味は わからない」(ゲーテ)が、「小さなことに 大きな愛を込める」の『がん哲学外来』の原点ともなった。  新渡戸稲造(1862-1933)は札幌時代(18歳頃)、鬱病に陥り イギリスのカーライル (1795-1881) の『衣装哲学』に出会い、「渇者の飲を求めるごとき勢いで」読んで慰藉を得たと言われる。  カーライルは、「実在と理想の連続」、つまり「リアルの中にアイデアルがある」と考えていた。  これは 新渡戸稲造を 師とする南原繁(1889-1974)の「理念をもって現実に向かい 現実の中に理念を問う知性のあり方」(理想主義的現実主義)に繋がる。  カーライルの「師匠」はゲーテであり、「ゲーテ → カーライル → 新渡戸稲造 → 南原繁」と、まさに歴史の動脈は 人物を通して流れている。  シュヴァイツァー は、ゲーテから大いに学んでいる。人間はいつの時代にも老若男女を問わず「高邁なる個性的確信」(シュヴァイツァー)を人生の座標軸として求めている。 内村鑑三 (1861-1930) は、シュヴァイツァーを紹介している。  シュヴァイツァー を日本国に最初に紹介したのは、賀川豊彦(1888 - 1960)であろう!  人生の真実性は「最も個人的なことは 最も普遍的なこと」(逆もまた真)と実感される今日この頃である。  まさに、「なんじ自身となれ!」(ゲーテ)、「真理は

第184回 「解決型」vs「伴走型」〜 「つながる(見守る)」 〜

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  今年(2021年)は、2月2日(火)が、「鬼は外、福は内」の節分であった。「日にちがずれる理由は、地球が太陽を1周する時間が365日ぴったりではないから。」とのことである。 『メディカルカフェ in 東白楽』1周年記念講演会(代表:原田詠子 氏)に、群馬県からZoomで参加されていた『ひだまりカフェ in おうら』代表:松崎淑子 氏から、 「一人の力は小さくとも、人生の邂逅によって 繋がったもの同志の力は 何よりも大きいと思います。  孤立させない 声がけと、周りの人が話しかけたくなる 風貌を心がけ 邂逅主義(人生邂逅の3大法則:良き先生、良き友、良き読書)で いきたいと思います。」 とのメールと 心が癒される写真が送られてきた。 大いに感動した。 【令和2年度 厚生労働科学研究 肝炎等克服政策研究事業 研究発表会/中間・事後評価委員会】(国立感染症研究所於いて)に赴いた。  新型コロナウイルス感染の今後の課題の先駆的モデルとなろう!  長崎県には、「誰でもゲートキーパー作戦」の活動が展開されているようである。  長崎県長崎市の白髭 豊 先生(白髭内科医院 院長、長崎在宅Dr.ネット事務局長)から送られてきた( https://www.zmhwc.jp/pdf/nenpo/nenpo2404_2.pdf , https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/nagasaki.pdf )。  2012年『新渡戸稲造生誕150周年記念事業 みぎわほーむ開設記念 市民公開シンポジウム』で、訪問したのが、鮮明に蘇って来た。  「ゲートキーパー」とは、『「築く」、「聴く」、「つなぐ」、「つながる(見守る)」』とあり、コロナの影響なのか、自殺者も増えている今日、「問題解決型支援」vs「伴走型支援」の違いが、テーマとなる時代ではなかろうか。  これが『がん哲学外来』の心得でもある。  『楕円形の心』は、毎週1回綴っている。  今回は、第184回である。  継続の大切さを 実感する日々である。  HPには、[originoffire.blogspot.com/ 樋野興夫のブログ「楕円形の心」 樋野興夫(順天堂大学名誉教授、新渡戸稲造記念センター長)