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第110回 「うわすべりの傾聴」vs「真の対話学」〜 魂を揺さぶる言葉 〜

 東京情報大学の看護学部の「病理学」の授業に赴いた。今回の テーマは 「病気と病理学:病気とは何か、病気の見方、病理」 であった。将来看護師を目指す学生の真摯な眼差し、態度には感激した。まさに、加納 佳代子 特命副学長の『「うわすべりの傾聴」の回避のための「真の対話学」の実践』であろう。  順天堂大学 佐倉キャンパス で 医学部1年生 『文化の中の健康』 の 授業「がん哲学 〜 人は、がんとともにどのように生きていくのか 〜」を担当した。学生からの質問もあり、有意義な時であった。 早速、学生さんの母親から「先生のご講義を拝聴できた娘が羨ましい限りです。」との温かいメールが届いた。感銘した。まさに 「親たる麗しい人格の 持ち主になれ ! 」の教育でもある。  筆者が、客員教授を務める 昭和学院短期大学 ヘルスケア栄養学科の「病理学概論:病理学の領域」の講義を依頼された。 [ 授業のねらい ] として、「栄養士として 患者に栄養面からの援助を行うには、病気や病人を知ることが必須である。病気の原因や病気になった患者の身体に生じる変化が どのようなものであるかを知ることは、患者の病気診断や検診、病気の予防にも活かされる。この授業では最新の医療を盛り込み、診断病理学の基礎 応用を簡潔に学び、将来の栄養士としての職務に役立つ専門的知識や態度を身に付ける。」が謳われている。教職員の熱意、学生の情熱には、大いに感動した。学生のニューモア溢れる質問には大爆笑であった。その後、 東京女子大学理事会に出席した。  「樋野先生は がん研究がご専門だから がん哲学 。私は がん患者だから がん患者哲学 。それぞれの専門分野で 哲学することを目指しているのですね!」との励ましのお言葉を頂いた。これこそ、「専門分野で発見した真理を 魂を揺さぶる言葉 」で語る実践であろう。 長野朝日放送の 動画が送られてきた。 http://www.abn-tv.co.jp/project-gan/backnumber/2019-09-26/  番組を見られた方から メールが届いた。『本当に素晴らしいですね。何だか元気になれました。「ほっとけ、気にするな。」ですね! そして明日も笑顔いっぱいの一日を!!』と心温まるメッセージには、涙無くしては語れない。

第109回 ‘doing’でなく、 ‘being’ 〜 希望の「管」〜

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 小金井での連続講演会『〜祈り〜「死者との対話」』(主催:一般社団法人 エッグツリーハウス、後援:上智大学グリーフケア研究所 トータルペイン緩和研究会、順天堂大学医学部緩和医療学研究室、 HOPE & WISH( 公社)難病の子どもとその家族へ夢を、カウンセリング研修センター学舎ブレイブ)で、『がん哲学』の講演に招待された(下記)。 会場には多数の参加者があり、感動した。早速、「 みなさん、先生の奥深い教養、思索、実践にもとづく話を楽しみ、考えながら聴いていました。 」、「 先生の気さくな   お人柄を知っていたものの 先生の基盤に医学、病理学、読書、 - - がこれほど   広く深いもの だと— 」,   「 スタッフ一同、今日の講演を行えたこと、うれしい体験でした。 - - 今回、樋野先生の講演会を担当することになったのは、私にとって大きな転機なったような気がしています。 」と身に余る お言葉を頂いた。  小金井から、ひばりヶ丘での「21世紀のエステル会主催   第2回シンポジウム「もしかすると   この時のため 〜地の塩、世の光 〜」に向かった(下記)。  『 樋野先生に   お会いできて大変光栄でした。 「 がん哲学外来から生じたカフェをされている方々、 ―   そ して樋野先生ご自身に実際にお会いできたのは   夢のように嬉しいことでした。必ず「人を人として見て、暖かさを持って対する」、「最後まで人間の尊厳、命の尊厳を守る」そして、 ‘d oing’ ばかりに価値を置くのでなく、  ‘ being’を大事にしなさいと言われ、学んできたことも大きかったと思います。言いようもなく   そこに居るべき自分というものが感じられ、自分でもびっくりするほど   自然に「ああ自分はここにこのように仕えるために、これまでのことがあったのか」(まさに今日のエステルの話のように)と思ったのでした。先生のお働きが‐‐ 、より多くの人たちへの希望の「管」となりますようにお祈りしています。 」』とメールを頂いた。

第108回 矢形 寛 先生の生涯 〜「火焔のうちにある 燃料の如く 自ら燃えよ!」〜

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 2019年7月6日、「第9回 がん哲学外来コーディネーター 養成講座 in 埼玉」(実行委員長 )と、翌日の「第8回 がん哲学外来市民学会大会」(大会長)を、ウエスタ川越に於いて主宰された 埼玉医科大学総合医療センター ブレストケア科 教授の矢形 寛 先生 が、9月11日 満55歳で、逝去されたとの知らせを 早朝に頂いた。 がん哲学外来市民学会大会の時の、入院中のベットからの ビデオメッセージが、鮮明に蘇ってきた。会場の、多数の参加者・がん患者が、矢形先生の御姿にどれ程、元気付けられたことか!  忘れ得ぬ想い出となった。涙なくして語れない! 矢形先生の「先見性・力量・胆力」には、大いに感動した。その後、病棟に 見舞いに行ったのが 今生の別れとなった。 奥様からは、 「通夜 9月15日(日)18:00〜 葬儀・告別式 9月16日 11:00〜12:30 公益社  用賀会館 (東京都世田谷区)」 の ご連絡を頂いた。  筆者は、がん哲学外来市民学会 代表として だけでなく、矢形先生のお計らいで、定期的に 毎月、埼玉医科大学総合医療センター ブレストケア科の小江戸「がん哲学外来」に赴いて、多くの学びを頂いている。『懸命な 心温まる「おもてなし」』、「賢明な寛容性」のある、矢形先生 ご夫妻には、本当に、感謝である。まさに、矢形先生の生涯は、「火焔のうちにある 燃料の如く 自ら燃えよ!」であった。ここに、「謹んで哀悼の意を表します」。  埼玉医大の皆様、関係者の皆様と、「矢形寛 先生 追悼記念講演会」を企画・実現させるのが、筆者の使命・役割と、強く感ずる今朝である。 矢形 寛先生とともに(ラジオ日経のご厚意による)

第107回 新刊『日めくり〜 人生を変える 言葉の処方箋 〜』

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 「新渡戸稲造記念センター」(東京医療生活協同組合   新渡戸記念中野総合病院 がん哲学外来)に赴いた。8月1 8 日に開催された、「新渡戸稲造記念センター」開設記念の「新渡戸稲造シンポジウム」(中野サンプラザに於いて)の新聞記事(クリスチャン新聞)が、送られてきた(下記)。東京女子大 学長、恵泉女学園 理事長のことが、大きく取り上げられており、大変感激した。良き想い出となる「新渡戸稲造シンポジウム」であった。歴史的快挙となろう。  また、今秋、 「新渡戸稲造シンポジウム」新聞記事を作製された 「いのちのことば社」の出版局から新刊『日めくり   〜人生を変える 言葉の処方箋 〜』が出版される予定である(下記)。不思議な繋がりである。乞うご期待である。    新渡戸稲造は、東大教授と第一高等学校校長を兼任し、東京女子大学学長などを歴任した。国際連盟設立に際して、初代事務次長に選任され、世界平和、国際協調のために力を尽くしている。国際連盟事務次長時代の新渡戸稲造が設立したのが「知的協力委員会」である。『世界の幸福を願い、世界中の叡智を集めて設立した「知的協力委員会」』には、哲学者のベルグソンや   物理学者のアインシュタイン、キュリー夫人らが委員として参加、第一 次世界大戦後に困窮が著しかった各国の生活水準の調査や知的財産に関する国際条約案を検討し、各国の利害調整に あった 。 この「知的協力委員会」の後身がユネスコである。  新渡戸稲造が、愛読したカーライルの『サーター・リサータス:衣装哲学』の『“ Do thy Duty, which lies nearest thee, which thou knowest to be a Duty ” (汝の義務を尽くせ。汝の最も近くにある義務を尽くせ、汝が義務と知られるものを尽くせ)』 の言葉 が、何故か思い出される今日この頃である。