投稿

8月, 2022の投稿を表示しています

第265回 「本質的な人間教育」〜 「他人の苦痛に対する思いやり」 〜

イメージ
 2022年8月22日、恵泉女学園(世田谷キャンパス)での理事会に出席した。『教育10カ条』(下記)の復習の時でもあった。 『教育10カ条』 1) 世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見ていく 2) 俯瞰的に理を理解し「理念を持って現実に向かい、現実の中に理念」を問う人材の育成 3) 複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む「具眼の士」の種蒔き 4) 自分の研究に自信があって、世の流行り廃りに一喜一憂せず、あくせくしない態度 5) 軽やかに、そしてものを楽しむ。自らの強みを基盤とする。 6) 学には限りないことをよく知っていて、新しいことにも、自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力する。 7) 段階ごとに辛抱強く、丁寧に仕上げていく。  最後に立派に完成する。 8) 事に当たっては、考え抜いて日本の持つパワーを充分に発揮して大きな仕事をする 9) 自分のオリジナルで流行を作れ! 10) 昔の命題は、今日の命題であり、将来のそれでもある。  人間は、お節介をやいてもらいたい生物である。 でも『余計なお節介』は嫌である。『偉大なるお節介』とは、他人の必要に共感することであり、『余計なお節介』と、『偉大なるお節介』の微妙な違いと その是非の考察がこれからの大きな課題となろう。 『偉大なるお節介』は、【「悩める人々の慰め」、「ユーモア(you more) に溢れ、心優しく、俯瞰的な大局観のある人物」の育成訓練】でもある。「本質的な人間教育の見直し」の時代的様相である。 「他人の苦痛に対する思いやり」は、教育の根本である。 2022年8月24日は、『柏がん哲学外来』(柏地域医療連携センターに於いて)に赴いた。 心温まるスタッフのおもてなしには、大いに感動した。

第264回  社会性の3か条 〜 『自らの強みを基盤にする』&『無くてならないものは多くない』&『無くてよいものに 縛られるな』 〜

イメージ
 2022年8月13日は、『東村山がん哲学外来メディカル・カフェ』(東村山市ステーション「サンパネル」に於いて)での8周年特別記念講演『種を蒔き、実を刈り、開拓!』に赴いた。 スタッフの皆様の真摯な姿には、大いに感動した。今年、12月3日には、『100回記念シンポジウム』が企画されるようである。 司会担当:阿部姉妹、【第1部講演:1)大弥佳寿子「三浦綾子(1922-1999)生誕100周年」に学ぶ、2)角田万木「新渡戸稲造(1862-1933)生誕160周年」に学ぶ、第2部パネルディスカッション:1)大弥佳寿子 氏のご主人「妻は賜物」、2)角田万木 氏のご主人「妻は宝物」】で、筆者は総括:『冗談を本気でする胆力 〜 大きな発見 〜』の予感がする。 スタッフのパワーには、ただただ圧倒される。 【『からし種』:どんな種よりも小さいのですが、成長すると、どの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て、その枝に巣を作るほどの木になります。】が鮮明に蘇る。「涙とともに パンを食べた者でなければ 人生の味は分からない」(ゲーテ:Goethe 1749-1832)であり、【「小さなことに、大きな愛をこめて」、「最も剛毅なる者は 最も柔和なる者であり、愛ある者は 勇敢なる者である」、「高き自由の精神」を持って、「他人の苦痛に対する思いやり」】の実践でもあろう。  母を亡くして 悩んでいるクララ(Clara:1860-1936)に対して、勝海舟(1823-1899)の奥さん(民子:1821-1905)の言葉;『悲しい時には 私達の所へいらっしゃい、一緒に泣きましょう、そしてあなたが 仕合せな時には 一緒に笑いましょう。さあ勇気をお出しなさい、—— これから先の長い年月のことは考えず、今日という日以外には 日がないと思って ただ毎日をお過ごしなさい』は、「訪れる人を 温かく迎え入れる」原点でもあろう。 『社会をよく見て、学んだものを生かす=社会性』(新渡戸稲造)、さらに、『患難の坩堝(るつぼ)の内に燃え尽くす火に 鍛えられて初めて実得し得るものである。』は、内村鑑三(1861-1930)の心得である。【個性に輝く3箇条:(1)『自らの強みを基盤にする』、(2)『無くてならないものは多くない』、(3)『無くてよいものに縛られるな』】を痛感する日々である。

第263回 せせらぎ 〜 生き方を探す 〜

イメージ
 2022年8月8日 多摩川の畔の『第42回多摩川せせらぎ メディカル・カフェ』(代表:岡内泰子 氏)(田園調布せせらぎ館1F多目的ホールA室に於いて)に赴いた。 講演の前、参加者の「風の谷カフェ代表:中村純子 氏」 と 「目白がん哲学外来カフェ代表:森尚子 氏」と3人で、「せせらぎ公園」を散策した。 大いに心が癒された。  講演のチラシには、 【「がんから学ぶ」生き方とはどのようなものでしょうか。日本人の2人にひとりが、がんになると言われている時代 患者だけでなく家族、遺族、友人、医療関係者などが集いその人らしい生き方を探す「対話の場」が、メディカル・カフェです。 初めての方も、お気軽にご参加ください。】と案内されていた。  筆者は、講演『偉大なるお節介症候群とは 〜 「自分の力が 人に役に立つと思うときは 進んでやれ」〜』の機会が与えられた。  岡内泰子 氏の娘様が昨年お亡くなられ、「12月10日に帰天いたしました。 コロナシフトの病院から実家に戻り在宅医療のお世話になり、天に帰っていきました。 私は本当に多くの経験を この歳になってすることになったのですが、娘が私にしてくれた最高の親孝行だったような気がいたします。――― 陰に日向に支えてくださった、がん哲学カフェのお仲間にも感謝しかありません。今までの我が人生に起きたことは この時のためだったのですね。」との心温まる感動的なメールを頂いた。 涙無くして語れない! 講演後は、個人面談とカフェにも参加した。 スタッフの真摯な働きには、大いに感激した。 また、テーブルで同席されていた、新渡戸稲造の親族のお母様と、医師である娘様に 久しぶりにお逢いした。 大変、充実した貴重な『多摩川せせらぎの旅』の1日であった。

第262回  「隗より始めよ !」 〜 「根底を一貫して流れる」〜

イメージ
 2022年7月31日は、定例の『東久留米がん哲学外来』(今回は、個人面談のみ)、その後は、読書会であった。 今回の読書会は、『代表的日本人』(内村鑑三著、鈴木範久訳 岩波文庫)の3章「行政改革」の3巡目であった!【「変革は、他人を待つのではなく、まず自分から始めなくてはなりません。」、「能力に応じた人の配置」、「真心は慈愛を生む。 慈愛は知識を生む。 真心さえあれば、不可能なものはない」、「役人は、民には 母のように接しなければならない。 民にいつくしむ心さえ汝にあるならば、才能の不足を心配する必要はない」、「心に不動の正義を忘れるな」、「人間性についてのよほど深い洞察力をもっていた」、「真の英雄でした」】は、今回、特に印象に残った。 まさに「隗より始めよ !」である。 この度、『OKIちゃん言葉に旅』(猪口由紀子 製作、日本語版、英語版)に続いて、 2作目の『しずくの冒険』(日本語版、英語版)が製本されるようである。  筆者は、『天国でカフェ〜対話重視の意義 〜』の文章を寄稿した。 完成が楽しみである! 【天国でOKIちゃんがお茶会を開いています。 新渡戸稲造先生がOKIちゃんに、「良くやった!」と肩に手を置いています。 それを内村鑑三先生も祝福しています。 テーブルには勝海舟、新島襄、南原繁、矢内原忠雄も同席されていて、しずくちゃんの一人がお茶をサーブしています。 周りには他のしずくちゃん達が 先生方の話を聞いています。】とのことである。「根底を一貫して流れるユーモア」であろう!   2022年8月1日は、出版社企画の第2回目の医師とのインタビュー形式の対談であった。【樋野先生の言葉:日本は、医療技術においては高いレベルにある。しかし、「死の質(Quality of Death)」についての教育と、緩和ケアの2つについてはまだ不足している。「死」を間近に感じる方々と接することが多いと思いますが、  死んだら、どうなるかについて、気にする人は多いですか。 そうした方々と接するときに、大切にしていること、もしくは心の立ち位置みたいなものがあれば、お聞かせください。】との質問を頂いた。 筆者は、何時も、「冗談を本気でする『天国のカフェ』の開催」と答える。