第308回 良き読書 〜 心の蔵を豊かにする 〜

 2023年3月20日、恵泉女学園中・高等学校(経堂)での理事会・評議員会に赴いた。 廊下に朝日新聞(2023年3月18日)の『お気に入りの一冊をあなたへ 読書推薦文コンクール』の個人賞118名)の中に、中学生3名の名前があり、団体賞48団体にも選ばれた記事が大きく貼られていた。 3人の生徒さんの『読まれた本』を知りたいものである。 筆者は、2020年 国際医学連盟(世界約130カ国の医学生)で講演を依頼された時、学生は筆者のいくつかの著書を事前に読まれていた。『学校では、学ばないことの学びが目的』とのことであった。 大いに感動したものである。『涙とともに、パンを食べた者でなければ、人生の味はわからない』(ゲーテ;1749-1832)&『無邪気に喜んで、小さな事に、大きな愛を込める』(アルプスの少女ハイジ)を語ったのが 今回鮮明に想い出された。

 また、札幌農学校の校長クラーク(1862-1886)、二期生の内村鑑三(1861-1930)、新渡戸稲造(1862-1933)のことも語った。 内村鑑三、新渡戸稲造の上にいた、新島襄 (1843-1890)、新島襄を支援した勝海舟(1823-1899)にも触れた。 内村鑑三が鬱的になった時、新渡戸稲造は新島襄に『内村鑑三を慰めてほしい』とお願いした。 悩んでいる時に手を差し伸べてくれる友達の存在は、極めて大切であることを述べた。 『良書を読み、有益な話を聞き、心の蔵を豊かにする』(新渡戸稲造)。 これが、真の学問の「器量」ではなかろうか! 新渡戸稲造が書いた1929年【大阪毎日新聞・東京日日新聞】(今の毎日新聞)『偉人には気体、液体、固体の3つのタイプがある』の記事を以前読んだことがある。 

気体:ガス性に似て名声は広がっているが、接してみると大した印象もない人。  液体: 水が氾濫するように世間に一時の人気を得て、世の中に利益をもたらすが、総合すると後に残るものはない人。  固体: 芳しさはガスのように広がることもなく、水のように流れることもないが、その人自体に含蓄されており、近づけば近づくほど真価が感じられる人。

【固体は、樋野先生のようにブレない人ですね! 私は読書が苦手で知識も浅く、常に自信がなくブレブレになってしまいますが、人の心の片隅に染みるような人になれたら……と思っています】と微笑ましいメールを頂いたものである。 まさに、【人生邂逅の3大法則 =『良き先生、良き友、良き読書』】であろう!


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