第576回 『継続は力なり』〜 視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む 〜
2026年9月21日 Zoom『南原繁研究会幹事会』に出席した。 筆者は、2004年にスタートした南原繁研究会の3代目の代表を仰せつかっている。 毎年(文化の日)シンポジウムが企画され『シンポジウムの記録本』が発行されていている。
南原繁(1889-1974)は、新渡戸稲造(1862-1933)と内村鑑三(1861-1930)から大きな影響を受けた。 新渡戸稲造は、日露戦争後7年間、第一高等学校の校長を務めているが、南原繁は新渡戸稲造校長時代の一高で学び、影響を受けた。 一高時代、南原繁は『聖書之研究』を読み始め、東大法学部に入学後、内村鑑三の聖書講義に出席するようになった。 東大卒業後の南原繁は、内務官僚から学者に転進し、ヨーロッパ留学を経て東大教授となり、政治学史を担当、政治哲学を深めていき重要な著作を発表する。 そして戦争中は 社会的発言は意識的に控え、ひたすら に 学問に打ち込む。 その態度をして、『洞窟の哲人』と呼ばれたほどである。 しかし昭和20年(1945年)3月10日の東京大空襲の前日に法学部長に就任、日本の敗色濃厚となった中で、法学部の有力教授たちと終戦工作を相談し、重臣らと接触した。 そして戦後、東大総長に就任、国家の再建を呼びかけ、戦後改革の理想を掲げて、ことに教育改革に主導的役割を果して行く。
筆者は、南原繁が東大総長時代の法学部と医学部の学生であった二人の恩師から、南原繁の風貌、人となりを直接うかがうことが出来た。 【南原繁は『高度な専門知識と幅広い教養を兼ね備え』&『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む 具眼の士』&『教養ある人間とは、自分のあらゆる行動に普遍性の烙印を押すことであり、自己の特殊性を放棄して普遍的な原則に従って行為する人間のことである』】と教わった。 筆者は、若き日に、全巻『南原繁著作集1〜10巻』を古本屋で購入し熟読したものである。
『時代を動かすリーダーの清々しい胆力』としての『人間の知恵と洞察とともに、自由にして勇気ある行動』(南原繁著の「新渡戸稲造先生」より)という文章が 思い出される今日この頃である。 それが、2007年から東久留米市での毎月の【新渡戸稲造『武士道』(岩波文庫、矢内原忠雄:1893 – 1961 訳) と 内村鑑三(1861 – 1930)『代表的日本人』(岩波文庫、鈴木範久:1935 – 訳)を交互に読み進める『読書会』】の開催に繋がった。
早朝、土田博文氏(順天堂大学 情報戦略・IR推進室 部長)から【樋野先生 継続的な読書会が 出会いを広げてくれますね、やはり『継続は力なり』ですね。】との心温まる励ましのメールを頂いた。 涙無くして語れない!