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第406回 相並んで、人間を組み立てる 〜 縦糸 と 横糸 〜

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 2024年5月27日、恵泉女学園の理事会、評議委員会に出席した。 5月28日は、新渡戸稲造記念センターから、順天堂大学保健医療学部 理学療法学科での講義『病理学概論』に赴いた。  授業では、教科書『カラーで学べる病理学』を使用して、今回は、『炎症』&『免疫のアレルギー』の箇所を音読をしながら進めた。 約120名の受講者で、真摯な姿勢で音読する生徒には、大いに感動した。 筆者は、『病理学』とは、『丁寧な観察力の修練』であると何時も述べる。 新渡戸稲造(1862-1933)が愛読したカーライル(Thomas Carlyle 1795-1881)の『汝の義務を尽くせ。汝の最も近くにある義務を尽くせ、汝が義務と知られるものを尽くせ』が、まさに、教育者の原点であろう!  生徒にとって【教育とは、すべてのものを忘れた後に残るものをいう(南原繁;1889-1974)】は、『人生の邂逅の非連続性の連続性』である。  矢内原忠雄(1893-1961)は、医者の子として四国の農村、現在の今治市に生まれ、神戸中学校から第一高等学校(東京)の法科に進学した。『一高の校長 新渡戸稲造先生との出会いは、自由の精神と人格の尊厳を植え付けました。 新渡戸稲造先生と内村鑑三(1862-1930)先生は、相並んで、私という人間を組み立てた、たて糸、よこ糸となっていると言っていいと思うんです。』と矢内原忠雄は語っている。  『がん教育は予防知識より心構えが大事』の取材記事が鮮明に思い出された。 【講義は『個性と多様性』&『賢明な配慮』の習得の場】であろう。  5月29日は、順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科での講義『病理学概論』&『がん医療科学』である。『病理学概論』では、同じ教科書『カラーで学べる病理学』を用い、『がん医療科学』では【『がん細胞から学んだ生き方「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』(へるす出版)】を用いて音読しながら進める。 

第405回 『汝の最も近くにある義務を尽くせ』 〜 『生きる証』 〜

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 2024年5月23日 新渡戸稲造記念センターに寄り、【新渡戸記念中野総合病院】倫理委員会に出席した。 5月24日は、病理組織診断の業務を終えて、筆者にとっては、ドキュメンタリー映画『がんと生きる言葉の処方箋』に続いての2作目のドキュメンタリー映画『新渡戸の夢 ~ 学ぶことは生きる証 ~』の特別試写会に赴いた。  新渡戸稲造(1862-1933)は幕末、盛岡に生まれている。 札幌農学校に学び、卒業後は東大に入学するが、この面接試験で将来の希望について『我太平洋の架け橋とならん』と答えたという逸話を残している。 しかし新渡戸稲造は東大の学問レベルに満足せず、アメリカに留学する。 帰国後、母校である札幌農学校の教授に就任、教育と研究に勤め、また北海道開発の諸問題の指導にあたるが、体調を崩してカリフォルニアに転地療養をすることになる。  このカリフォルニアでの療養中に書き上げ刊行したのが『武士道』である。 その直後、台湾総督府に招聘されて台湾に渡り、農業の専門家としてサトウキビの普及、改良、糖業確立へと導く。 また学問・教育の世界では、東大教授と第一高等学校校長の兼任、東京女子大学学長などを歴任した。 そして第一次世界大戦後、国際連盟設立に際して、初代事務次長に選任され、世界平和、国際協調のために力を尽くしている。  国際連盟事務次長時代の新渡戸稲造が設立したのが、知的協力委員会である。 世界の幸福を願い、世界中の叡智を集めて設立した知的協力委員会には哲学者のベルクソン(Henri-Louis Bergson 1895-1941)や 物理学者のアインシュタイン(Albert Einstein 1879 - 1955)、キュリー夫人(Madame Curie 1867-1934)らが委員として参加、第一次世界大戦後に困窮が著しかった各国の生活水準の調査や知的財産に関する国際条約案を検討し、各国の利害調整にあった。 この知的協力委員会の後身がユネスコである。 まさに、新渡戸稲造が愛読したカーライル(Thomas Carlyle 1795-1881)の『汝の義務を尽くせ。汝の最も近くにある義務を尽くせ、汝が義務と知られるものを尽くせ』の実行である。

第404回 異分野の仲間達との交流 〜 役割が生まれ最善を考える 〜

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 2024年5月19日『東久留米がん哲学外来・カフェ』と読書会である。 スタッフの皆様の熱意、真摯なる姿には、ただただ感謝である。 『東久留米がん哲学外来・カフェ』は、2008年10月にスタートした。『東久留米がん哲学外来・カフェ』に参加された方から【樋野先生、今日も楽しい時間を作っていただき ありがとうございました。 先生の笑顔や言葉に どれだけ励まされたことか。 治療はあっても 楽しく明るく生きられたのは 先生のおかげです! 先生や皆さんとの時間は 本当に楽しく、私の生きる力になっています! 楽しすぎて あっという間に時間が 過ぎてしまいます。 先生の側にいると 楽しい事がいっぱいで ワクワクしますね。】との心温まる、励ましのコメント頂いたものである。 涙無くして語れない!  読書会は、2007年から『武士道/新渡戸稲造著・矢内原忠雄訳』と『代表的日本人/内村鑑三著』の交互の読書会を異分野の愉快な仲間達と継続している。皆にとって、日常のそれぞれの置かれた生活の場での苦労を忘れ、貴重な一時の憩いの場でもある。  思えば、検事総長退任後に、新渡戸稲造が初代学長であった東京女子大学理事長に 就任された 今は亡き原田明夫氏(1939-2017)と一緒に、2000 年『新渡戸稲造 武士道 100周年記念シンポ』、『新渡戸稲造生誕 140年』(2002年)、『新渡戸稲造没後 70年』(2003年)、『新渡戸稲造 5000円札さようならシンポ』(2004年)を企画する機会が与えられた。『起こったことは仕方がないのだから、そのことを前提に最善を考えよう』の学びが、2008年1月 順天堂大学での『がん哲学外来』開設の原点となった。 そして、病院外での『東久留米がん哲学外来・カフェ』が始まった。 新渡戸稲造(1862-1933)の言葉に『人生に逆境も順境もない』とある。 【自分のことばかり考えると、悩みや苦しみが立ちはだかって逆境になる。 でも、自分よりも困った人に手を差し伸べようとすれば、自らの役割が生まれ、逆境はむしろ順境になる。】 まさに『東久留米がん哲学外来・カフェ』の原点であり『東久留米がん哲学外来・カフェ』の継続の大切さを痛感する日々である。

第403回 教育の大切さ 〜 自らの役割が生まれる 〜

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 2024年5月14日 新渡戸稲造記念センターから 順天堂大学保健医療学部理学療法学科2年生の授業『病理学概論:カラー学べる病理学』に向かった。 120名の出席であった。  今回は、『循環障害:「血液凝固と血栓症」・「塞栓症」・「虚血と梗塞」・「浮腫」・「ショック」・「高血圧」 & 炎症:「炎症とは」・「炎症の基本病変」・「急性炎症のしくみ」』の箇所を音読しながら進めた。 学生の真摯な姿勢には大いに感動した。 『人間社会の病理』の学びでもある!  新渡戸稲造(1862-1933)の言葉に『人生に逆境も順境もない』とある。 自分のことばかり考えると、悩みや苦しみが立ちはだかって逆境になる。 でも、自分よりも困った人に手を差し伸べようとすれば、自らの役割が生まれ、逆境はむしろ順境になる。 まさに教育の原点であり 教育の大切さを痛感する日々である。  2005年にアスベスト(石綿)による中皮腫や肺がんなどの健康被害が社会問題になったとき、順天堂大学医学部教授時代で 中皮腫の早期診断法を開発していた。 そこで 順天堂大学附属病院で『アスベスト・中皮腫外来』を開設し、問診を担当した。 そして、がんと共に生きるこれからの時代において、その不安や心の痛みを受け止め、“すき間”を埋めるための対話が必要だと、病院に提案して『がん哲学外来』を2008年に開設した。 各新聞社で大きく取り上げられ、全国各地から予約が殺到した。 キャンセル待ちも出るほどで、“対話の場”の必要性を確信した。  『がん哲学外来』には、多くの患者さんが来られる。 困っている人のために居場所を作る。 それが人間としての使命であろう! 【『病気』であっても『病人』ではない社会】は、人類の進む方向であると実感する。  2001年に『がん哲学』を提唱した。 そして筆者の誕生日(3月7日)に『がん哲学 〜 がん細胞から人間社会の病理を見る 〜』(2004年)を出版した。

第402回 『人生の根幹を追求する』 〜 バランスを保つ楕円形の心 〜

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 2024年5月8日 新渡戸稲造記念センターから順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科2年生の授業『病理学概論:カラー学べる病理学』に向かった。 今回は、『再生と修復:「再生と再生医療」・「化生」・「創傷治癒と肉芽組織」・「異物の処理」・「肥大と過形成」 循環障害:「生体と循環のしくみ」・「充血とうっ血」・「旁側循環」・「出血」・「血液凝固と血栓症」』の箇所を音読しながら進めた。 学生の真摯な姿勢には大いに感動した。   『病理学概論』とは、『顕微鏡を見て病気を診断する=森を診て木の皮まで診る=風貌を見て、心まで読む=丁寧な観察力の修練』であり『人生の根幹を追求する=教育』であろう!『がん哲学=癌細胞の病理と人間社会の病理=生物学と人間社会』の原点でもある。  その後、同じ教室で、『がん医療科学』の授業『がん細胞から学んだ生き方〜「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』を行った。今回は、第3章【『がん細胞が語る人間社会』:「日本は化学発がん研究の創始国」・「がん化するメカニズム」・「がんには個性がある」・「がん細胞と人間社会の類似性」・「がんは身の内」・「生きている以上、がんは避けられない」・「がん細胞の動きは尺取り虫」・「がん細胞はギブ・アンド・テイクの実践者」・「進歩するがんの治療法」・「天寿がんの時代」・「がん細胞同士はバランスを保つ」・「楕円形の生き方」・「アダムとイブが伝えるもの」】の箇所を音読しながら進めた。 質問もあり 特に『同心円と楕円形の心の違い』の質問には大いに感激した。 『大変貴重な講義の時』が与えられた。 『愛と信頼=真の人の道』を導くのが、まさに『教育の魂』である。『深くて簡明、重くて軽妙、情熱的で冷静をモットー』に、『胆力と品性をキーワードに、時代の要請感のある人物』を目的とする。『賢明な寛容と配慮=多様性のある居場所』を常に心に留めるのは、『高度な専門知識と幅広い教養』を兼ね備え『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む
具眼の士』の人材育成で『教育の真髄』であろう。 

第401回 『いい覚悟で生きる』〜 心豊かな暮らし 〜

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 2024年5月1日、島根大学医学部地域医療教育学(島根県出雲市)での講義で帰郷(島根県出雲大社鵜峠)した。 鵜峠の実家で一泊し、翌朝(5月2日)、廃校になった鵜鷺[鵜峠+鷺浦(隣の村)=鵜鷺(うさぎ)]小学校の校地、そして、鵜鷺(うさぎ)コミュニティセンター(廃校になった鵜鷺中学校)を訪問した。 筆者の夢は、『鵜鷺メディカル・ビレッジ構想』である。  帰京後、【『出雲への旅、お疲れさまでした。 故郷での大学での講義、地域の方との交流、懐かしの地で、貴重な時間をすごされたのですね。 帰るべきところがある、ということは心強いですね。 そして故郷での原体験から医療の道を志し、今や世界「がん哲学」を広めるお働きへとつながり、豊かな歩みに、あらためて感銘を受けます。』、『美しい鵜鷺の村で心豊かな暮らしができる「メディカルヴィレッジ」、是非、実現してください! 応援しております!』、『先生の原点とも言える出雲でのご講演、無医村から「メディカルビレッジ」へと構想が実現できますように・・・『医学・医療・健康の情報発信拠点となり、全国にネットワーク化している「がん哲学外来」が中心となるといいですね』】などなど励ましのメールを頂いた。 大いに感動した。 涙無くして語れない!  筆者は、5月4日『がん哲学外来メディカル・カフェひばりが丘 8周年記念』で、講演『いい覚悟で生きる 〜 病気であっても病人ではない 〜』の機会が与えられた。 想えば、今年は『いい覚悟で生きる』(小学館2014年)発行10周年でもある。 筆者はカフェタイム中、別室で個人面談を行った。  早速、【本日は 『ひばりが丘カフェ8周年記念講演会』で大変お世話になり、誠にありがとうございました。 初めていらした方は、皆さん樋野先生のご講演、個人面談が目的で来て下さいました。 個人面談をしていただいたお二人が、本当に救われた、という喜びの表情で帰られて、安心しました。 一人ひとりに希望を与える素晴らしいお働きに、心より感謝申し上げます。 最後に、左半身麻痺の方のお誕生日祝いも ご協力くださって、とても喜んでいらっしゃいました。ありがとうございました。】との心温まるコメントを頂いた。