第403回 教育の大切さ 〜 自らの役割が生まれる 〜

 2024年5月14日 新渡戸稲造記念センターから 順天堂大学保健医療学部理学療法学科2年生の授業『病理学概論:カラー学べる病理学』に向かった。 120名の出席であった。

 今回は、『循環障害:「血液凝固と血栓症」・「塞栓症」・「虚血と梗塞」・「浮腫」・「ショック」・「高血圧」 & 炎症:「炎症とは」・「炎症の基本病変」・「急性炎症のしくみ」』の箇所を音読しながら進めた。 学生の真摯な姿勢には大いに感動した。 『人間社会の病理』の学びでもある!

 新渡戸稲造(1862-1933)の言葉に『人生に逆境も順境もない』とある。 自分のことばかり考えると、悩みや苦しみが立ちはだかって逆境になる。 でも、自分よりも困った人に手を差し伸べようとすれば、自らの役割が生まれ、逆境はむしろ順境になる。 まさに教育の原点であり 教育の大切さを痛感する日々である。

 2005年にアスベスト(石綿)による中皮腫や肺がんなどの健康被害が社会問題になったとき、順天堂大学医学部教授時代で 中皮腫の早期診断法を開発していた。 そこで 順天堂大学附属病院で『アスベスト・中皮腫外来』を開設し、問診を担当した。 そして、がんと共に生きるこれからの時代において、その不安や心の痛みを受け止め、“すき間”を埋めるための対話が必要だと、病院に提案して『がん哲学外来』を2008年に開設した。 各新聞社で大きく取り上げられ、全国各地から予約が殺到した。 キャンセル待ちも出るほどで、“対話の場”の必要性を確信した。

 『がん哲学外来』には、多くの患者さんが来られる。 困っている人のために居場所を作る。 それが人間としての使命であろう! 【『病気』であっても『病人』ではない社会】は、人類の進む方向であると実感する。

 2001年に『がん哲学』を提唱した。 そして筆者の誕生日(3月7日)に『がん哲学 〜 がん細胞から人間社会の病理を見る 〜』(2004年)を出版した。



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