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第471回 賢明な寛容と配慮の居場所 〜 メディカルタウンを追い求めて 〜

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 筆者は、2025年4月26日【<がん哲学外来>『お茶の水メディカル・カフェ in OCC』】に赴いた。 多数の参加者であった。 筆者は、別室で6組(8人)の個人面談の機会も与えられた。 大変貴重な時となった。  想えば、【<がん哲学外来>『お茶の水メディカル・カフェ in OCC』】は、東日本大震災(2011年3月11日)の年の暮れに創設準備がなされ、2012年5月26日に当時のOCC副理事長であった 今は亡き榊原寛(1941-2020)先生を責任者として始動された。 コロナ禍に 榊原寛先生が天に召され途方に暮れていた中、2021年の夏に、OCC新副理事長の大嶋重徳先生のもと、対面でのカフェの重要性を強く認識し、新しい出会の再開となった。 スタッフの皆様は、『賢明な寛容と配慮』と『多様性のある居場所』を常に心に留めて、真摯に担当されている。   2024年7月20日には、【『OCCカフェ 12周年記念誌』(編集顧問:樋野興夫/ 編集長:山﨑智子/ 副編集長:青木美由紀/ 編集委員:大嶋重徳・ 岡内泰子・戸田裕子・新田幸代・増田謙・森尚子)】が発行された。 筆者は、編集長の山崎智子(まどろむ文鳥)先生から、原稿【賢明な寛容と配慮 〜 多様性のある居場所 〜 】を依頼された。 また、『青木美由紀(アライグマ)氏 & 森尚子(春風のようなゴリラ)氏』とは、2023年10月31日に【韓国のミョンジ(Myongji)大学での第1回 メディカルカフェ in ソウル】を訪問したものである。『日本と韓国の懸け橋 = OCCカフェ』を実感する『人生の忘れ得ぬ貴重なソウルの旅』となった。  人間は、自分では『希望のない状況である』と思ったとしても、『人生の方からは期待されている存在である』と深い学びの時が与えられている。 その時、『その人らしいものが発動してくる』であろう。 『練られた品性 と 綽々たる余裕』は『お茶の水メディカル・カフェ in OCC』の真髄である。 『ビジョンは人知・思いを超えて進展する』ことを痛感する日々である。 『病気であっても、病人ではない社会構築』が【『人生に期待する』から『人生から期待される』生き方への変換】で、 これこそ『メディカルタウンである御茶ノ水』の『がん哲学外来 〜 メディカルタウンを追い求めて 〜』(2008年発行 to be...

第470回 俯瞰的に物事を総合的に見る 〜 『医師は生涯書生』〜

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 2025年4月22日 新渡戸稲造記念センターから、東京大学 弥生講堂一条ホールでの【文部科学省 学術変革領域研究 「学術研究支援基盤形成」生命科学4プラットフォーム 支援説明会・成果シンポジウム(主催:生命科学連携推進協議会 研究支援代表者 武川 睦寛(東京大学医科学研究所)】に赴いた。  【生命科学4プラットファーム:先端モデル動物支援プラットフォーム&先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム&コホート・生体試料支援プラットフォーム&先端バイオイメージング支援プラットフォーム】の支援説明会であった。 純度の高い最新の情報は、大いに勉強になった。【4つのプラットフォームを展開し、先進的技術支援、リソース提供、技術相談等を通して、科研費による生命科学研究を最先端で支援してまいります。】と謳われている。 『日進月歩の科学の学び』である。 まさに、【『医師は生涯書生』、『医師は社会の優越者ではない』、『医業には自己犠牲が伴う』の『医師の3ヶ条』】の再確認の時となった。  その後、順天堂大学保健医療学部 理学療法学科2年生の授業『病理学概論:カラー学べる病理学』に向かった。  今回は、【『細胞・組織とその障害』:細胞の構造と機能/組織/細胞障害/壊死とアポトーシス〜壊死・アポトーシス〜/萎縮/再生医療における幹細胞iPS細胞/】の箇所を音読しながら進めた。 真摯な受講生の姿勢には、大いに感動した。  明日(4月23日)は、【診療放射線学科2年生『病理学概論』と診療放射線学科2年生『がん医療科学』と修士課程 展開医科学学位プログラム『がんと遺伝子』の3連チャン授業】である。【『がん』の根幹を追求し、俯瞰的に物事を総合的に見られるようにする】ことを『教育の目的』とする。  『 医師の2つの使命~』 1)「学問的、科学的な責任」で、病気を診断・治療するーー>学者的な面  2)「人間的な責任」で、手をさしのべるーー>患者と温かい人間としての関係

第469回 『病理学の理念、使命、社会貢献』 〜 本質的な人間教育 〜

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 2025年4月8日 仙台での第114回日本病理学会総会『病理学の新しい扉を開く Opening New Doors in Pathology』(仙台国際センターに於いて)に赴いた。 発表者の真摯な姿勢には 大いに感動した。【病理学『臨床と基礎の懸け橋 = 純度の高い専門性(生物学)と社会的包容力(人間学)』の『理念、使命、社会貢献』】(下記)は『本質的な人間教育の見直し』の時代的要請であろう!   病理学の理念:『世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見ていく』  病理学の使命:『俯瞰的に「人間」を理解し「理念を持って現実に向かい、現実の中に理念」を問う人材の育成』  病理学の社会貢献:『複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む「具眼の士」の種蒔き』  想えば、筆者は1995年『日本病理学会学術研究賞』、2002年『日本病理学賞』を受賞し、そして『日本病理学会理事』を歴任し、『第99回(2010年)日本病理学会総会会長』を仰せつかった。 筆者にとっては『病理学は人生の原点』である。  1979年医師になり、癌研究会癌研究所の病理部に入った。 そこで、大きな出会いに遭遇したのであった。 病理学者であり、当時の癌研究所所長であった菅野晴夫先生(1925-2016)の恩師である日本国の誇る病理学者:吉田富三(1903-1973)との出会いに繋がった。 米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センターに留学(1984〜1985)、そして、菅野晴夫先生に、フィラデルフィアのフォクスチェース癌センタ(Fox Chase Cancer Center)のKnudson博士(1922-2016)の下で『Scienceを学んでくるように』と留学(1989〜1991)の機会が与えられた。 1991年に癌研実験病理部部長として、帰国するようにと指示を頂いた。  菅野晴夫先生の下で、2003年 『吉田富三生誕100周年記念事業』を行う機会が与えられ、日本病理学会でもシンポジウムを企画した。 筆者が会長を務めた『第99回日本病理学会総会』において、菅野晴夫先生に 特別企画『病理の百年を振り返って』をして頂いた。 そして2003年順天堂大学の『病理・腫瘍学の教授』に招聘された。 今回、『不思議な人生の流れ』が鮮明に想い出された。

第468回 『生命の原理』 〜 相互に影響しながらバランスを保つ 〜

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 2025年4月13日、wifeとCAJ(Christian Academy in Japan)のキャンパスの中にあるKBF(Kurume Bible Fellowship)に出席した。 1992年 癌研究所実験病理部部長時代の月刊誌『いのちのことば』の連載【『内なる敵』の『癌細胞の病理』と『人間細胞の病理』】が、鮮明に思い出された。   ドイツの神学者パウル・ティーリヒ(Paul Tillich 1986~1965)は、【人が現実の社会や状況の中で直面する問いに対し、答えることこそ 神学の役目であり『哲学の問いと神学の答え』という関係はそこから生まれる】と説いた。 筆者は、若き日 ティーリヒの【『神は癌をもつくられた』という言葉】を読んだものである。 【『愛なる神が癌をつくられた』としたら、その癌は人間にとって、必ずしも悪いものとは言えないのではないかと!】のティーリヒの言葉が、ふと蘇った。 人間は、【『苦難』を取り違えて受け取っている】のではなかろうか!?  筆者は、病理学者として、これまで5万人以上のがん細胞を見てきた。 患者一人ひとりのがん細胞に同じものは無い。 人間もまた、一人ひとりが違う個性をもったものとして造られている。 顔の似ている人であっても、親子であっても兄弟であっても、双子であっても、人間はそれぞれが違う。 内村鑑三(1861~1930)は、『真理は円形にあらず。楕円形である』と語った。 【『円形』は、何ごとも円満に平和的である姿のように受け取れるが、実は排他的で柔軟性に乏しく、外部からの力や異物に弱い姿】なのであろう。 空気を入れた風船を想像しても良いかもしれない。 小さな針の一刺しで跡形も無く破裂してしまう。  『楕円形』であることは、見た目は、いびつで美しさに欠けるが、外からの圧力や刺激には柔軟に対応できる。 『楕円形』は、中心が二つある。 二つの中心が緊張を保ちつつ絶妙に バランスを取りながら 共存している姿が『楕円形』である。 体にも、『交感神経』と『副交感神経』がありバランスを保っているし、また一つのがん細胞の中にも『がん遺伝子』と『がん抑制遺伝子』がある。 両者が相互に影響しながらバランスを保ち、『がんの発生』を抑えている。 『生命の原理』とは、まさに『楕円形の原理』で成り立っている。

第467回 思いやる心 〜 温かい人間として 〜

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 2025年4月8日、第123回『がん哲学外来メディカル・カフェ@よどばし=ミニ講演とカフェタイムの組み合わせ』(淀橋教会に於いて)に赴いた。 定番の『365日の紙飛行機』の熱唱で始まり、『糸』を合唱して終えた。 早速、市川牧子先生から【今日は、ご主人が去年がんで召された方がそのお友だちと、また難病のお母様の介護をしておられる西船橋の教会の方と、3人の方が初めて来られました。 また久しぶりの方もお二人来られました。 終わってからも、しばらく立ち話などして帰って行かれました。 感謝いたします。】との連絡が届いた。 大いに感動した。『がん哲学外来メディカル・カフェ@よどばし』は、2014年7月6日にスタートされた。 今年(2025年)7月6日に11周年記念が企画されている。  その後、順天堂大学保健医療学部 理学療法学科2年生の講義『病理学概論』の授業に向かった。 119名の学生の受講であった。   【私は、クボタショックの2005年、順天堂大学で『アスベスト・中皮腫 外来』を開設する機会が与えられた。 そして、2008年、順天堂大学で『がん哲学外来=患者さんや そのご家族と面談し、苦しみを和らげる』が開設された。『医療者と患者の隙間を埋める=First Contact Team =がん哲学』の時代的要請を痛感した。『がん哲学外来』は、『“がん”も単なる個性 〜 患者さんに寄り添い、対話を 〜』を実践し、『相手を思いやる心』&『患者に対する慈愛の心』の姿勢を貫いて『純度の高い専門性と社会的包容力 〜 病気であっても、病人ではない 〜』社会構築を目指すものである。】と語った。  また、【『アルプスの少女ハイジ』の現代的意義:喜んで無邪気に小さなことに大きな愛を込める。 『医療者の2つの使命』 1)『学問的、科学的な責任』で、病気を診断・治療する ー>学者的な面 2)『人間的な責任』で、手をさしのべる ー>患者と温かい人間としての関係】 も述べた。 真摯な学生の姿勢には、大いに感激した。

第466回 『継続の大切さ』 〜 『不連続の連続性』 〜

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 2025年4月4日、wifeが、現在、小学校の校長を務めている1950年創設された東久留米市のインターナショナル・スクール『クリスチャン・アカデミー・イン・ジャパン(Christian Academy in Japan, CAJ)』の75周年記念会に出席した(下記は一部のプログラム)。 Wifeは開会の挨拶をした。 会場は満席であった。 生徒の演奏、合唱、演劇には大いに感動した。 4月5日も出席する予定である。  CAJは、幼稚園から高校までの一貫教育授業で、アメリカ、日本、韓国、他20カ国以上の学生が 約480名 在籍している。【授業はすべて英語で行われ、アメリカ合衆国の教育規格に基づいている。 国際的な評価団体WASC(The Western Association of Schools and Colleges、米国・西部学校大学協会)の認定を受けている。 文部科学省が定める日本国内の大学への入学資格を認められている。】と紹介されている。 約20年前に娘、息子もCAJを卒業した。 Friday, April 4 2:00 p.m.– Spring Program, CAJ Through the Decades Saturday, April 5  2:00–4:00 p.m.– 75th Celebration Ceremony  明日(4月6日)は、CAJキャンパス内にあるKBF(久留米バイブルフェローシップ)の65周年記念である。 筆者は、2007年からCAJキャンパス内で『読書会』【新渡戸稲造『武士道』(岩波文庫、矢内原忠雄訳)と内村鑑三『代表的日本人』(岩波文庫、鈴木範久訳)を交互に読み進めている)】 & 2008年から『東久留米がん哲学外来・カフェ』をスタートした。 『継続の大切さ』を実感する日々である。 まさに『人生は不連続の連続性』を痛感する。 『東久留米がん哲学外来・カフェ』に毎回参加されていた 今は亡き『前田こずえ』様が 入院中に作成されたカルタ集を ご主人が持参された。 2024年10月27日『カルタ大会』が開催されたものである。 

第465回 俯瞰的な眼差し 〜 本気で実現する胆力と英断 〜

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 筆者は2025年3月28日 群馬県の万座温泉日進館(標高1800メートル)での【『2025年メディカル・ヴィレッジ in 嬬恋村 がん哲学外来カフェin 万座』『樋野先生お誕生日お祝い会』】に赴いた。 『天空デーサービス = 天国でカフェを開くモデル』へと繋がることであろう! 3月29日wifeと軽井沢駅に向かい新幹線で帰京した。大変有意義な『万座温泉の旅』であった。  3月30日 東久留米ジョナサンで、ブログ『楕円形の心』を編集担当して頂いている樫本氏と娘さんの大学入学祝賀会の昼食をwifeとした。 大変楽しい貴重な時となった。 娘さんは『教養を深め、時代を読む 〜 楕円形の心 〜』(to be 出版)の『表紙の絵』を書いてくださった。ただただ感謝である。 500回『楕円形の心』記念本を『大学入学記念』として製本したいものである。  『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年発行:イーグレープ/発売:いのちのことば社)は、樫本氏の支援で、筆者が広報誌『Scientia』に連載していた文章をまとめたものである。 2003年 出版記念講演会は、筆者の順天堂大学教授就任も兼ねてであった! 『がん哲学 〜 がん細胞から人間社会の病理を見る 〜』(2004年 to be出版)&『われOrigin of fire たらん』(2005年 to be出版)&『がん哲学 〜 メディカルタウンを追いもとめて〜』(2005年 to be出版)&『がん哲学 〜 立花隆氏との対話 〜』(2009年to be出版)も、ご配慮により製本される運びとなった。『継続の大切さ ~ 本気で実現する胆力と英断 〜』には、ただただ感服である。  想えば、筆者は『21世紀の徒然草』(99回)ー>『がん哲学ノート』(??回)ー>『楕円形の心』(最新465回)を長年継続してきたものである。 今回、鮮明に蘇った。    『何があっても、いつ、どこにあっても なくてはならない人に おなりなさい』河井道(1877-1953) まさに、『俯瞰的な眼差し』を痛感する日々である。