第469回 『病理学の理念、使命、社会貢献』 〜 本質的な人間教育 〜
2025年4月8日 仙台での第114回日本病理学会総会『病理学の新しい扉を開く Opening New Doors in Pathology』(仙台国際センターに於いて)に赴いた。 発表者の真摯な姿勢には 大いに感動した。【病理学『臨床と基礎の懸け橋 = 純度の高い専門性(生物学)と社会的包容力(人間学)』の『理念、使命、社会貢献』】(下記)は『本質的な人間教育の見直し』の時代的要請であろう!
病理学の理念:『世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見ていく』
病理学の使命:『俯瞰的に「人間」を理解し「理念を持って現実に向かい、現実の中に理念」を問う人材の育成』
病理学の社会貢献:『複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む「具眼の士」の種蒔き』
想えば、筆者は1995年『日本病理学会学術研究賞』、2002年『日本病理学賞』を受賞し、そして『日本病理学会理事』を歴任し、『第99回(2010年)日本病理学会総会会長』を仰せつかった。 筆者にとっては『病理学は人生の原点』である。
1979年医師になり、癌研究会癌研究所の病理部に入った。 そこで、大きな出会いに遭遇したのであった。 病理学者であり、当時の癌研究所所長であった菅野晴夫先生(1925-2016)の恩師である日本国の誇る病理学者:吉田富三(1903-1973)との出会いに繋がった。 米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センターに留学(1984〜1985)、そして、菅野晴夫先生に、フィラデルフィアのフォクスチェース癌センタ(Fox Chase Cancer Center)のKnudson博士(1922-2016)の下で『Scienceを学んでくるように』と留学(1989〜1991)の機会が与えられた。 1991年に癌研実験病理部部長として、帰国するようにと指示を頂いた。
菅野晴夫先生の下で、2003年 『吉田富三生誕100周年記念事業』を行う機会が与えられ、日本病理学会でもシンポジウムを企画した。 筆者が会長を務めた『第99回日本病理学会総会』において、菅野晴夫先生に 特別企画『病理の百年を振り返って』をして頂いた。 そして2003年順天堂大学の『病理・腫瘍学の教授』に招聘された。 今回、『不思議な人生の流れ』が鮮明に想い出された。