第443回 『不連続の連続性』 〜 『純度の高い専門性 と 社会的包容力』 〜

 2024年12月13日(金) 筆者は、東京保健会病体生理研究所での病理組織診断に赴く。 想えば、アスベスト中皮腫大型研究型検診では 大変お世話になった。

 【アスベスト中皮腫大型研究型検診の取り組み:2007年2月から2012年3月の5年間、東京土建国民健康保険組合建築作業員等を対象に、健康検診受診時、本研究に同意していただいた対象者から血液検体を採取した。 回収した血液(血漿)検体を用いて『Human N-ERC/Mesothelin ELISA法』(IBL)キットにてN-ERC/Mesothelinタンパク量を測定した。 N-ERC/Mesothelin(以下N-ERC)8.0 ng/mLをカットオフ値とし、高値となった対象者に2次検診受診勧奨を行いfollowした。なお、中皮腫発症の潜伏期間を考慮し35歳未満の対象者および、N-ERCが高値となる腎機能が悪い対象者(eGFR60未満)は除外した。】と紹介されていた。

 順天堂大学の学長からは【樋野興夫先生は、肝癌におけるB型肝炎ウイルス(HBV)DNAの組み込みを日本で最初に報告された。 また、遺伝性腎発がんラットの原因遺伝子(Tsc2)を同定(tuberous sclerosis complex, TSC)した。また、進行過程で高発現してくる新規遺伝子(Erc)を発見し、Erc遺伝子産物は、血中に分泌され、血液診断に使用できることを明らかにした。 そして、樋野興夫先生は、2005年日本で初めて『アスベスト・中皮腫外来』を開設し、早期発見・治療を目的とした検診体制の構築した。 

 外来で患者と接し、医療者と患者の『対話』の重要性を再認識すると同時に、治療法が確立されておらず治ることが難しい患者さんが、心安らかに充足した日々を送り、穏やかな最期を迎えるために、自ら人生や死について考えるための支援、いわゆる『哲学的なアプローチ』が必要だとの思いに至り、2008年、医療者の立場からの「がんの知識」の提供ではなく、医療現場と患者、その家族の間にある『隙間』を埋める『対話の場』として順天堂大学で『がん哲学外来』を開設した。こ のように、樋野興夫先生は、『純度の高い専門性 と 社会的包容力』をもって、『遺伝性がん』から『環境がん』そして、『がん哲学』へと『不連続の連続性』で、先進されている。】との心温まる紹介がされた。

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