第396回 『人と文化の掛け橋』 〜 『他人の苦痛に対する思いやり』 〜

 2024年4月8日 筆者は恵泉女学園の理事長として、午前は、第80回中学校入学式、午後は、高等学校入学式に出席した。 中学校入学式には保護者も参加されていた。 会場は満員であった。 生徒の真摯な姿勢には、大いに感動した。 

 4月9日は、順天堂大学保健医療学部 理学療法学科2年生の授業『病理学概論』を担当した。 教室には多数の学生が履修していた。

【『がん病理学』 は『がん』に関しての学問で、『形態』、『起源』、『進展』などを追求する学問分野である。 当然がん研究者だけのものでなく、一般社会の人々の為の学問でもある。 がん病理学者が『がん』をどの様に考えるかは、とても大切なことである。 なぜなら『がん』に対する概念が世界観、人生観、ひいては日常の決断や行動をも時には決定するからである。『がん』の『起源』 と『進展』を学ぶことは、ある意味では人生の意義と目的の『静思』へとも導くものと考える。 これこそ、『がん病理学者の社会貢献』である。】と説明した。

 学生から筆者の故郷について質問をされたので、【今から1312年前、712年に編纂された『古事記』に登場する、医療の原点を教えてくれる大国主命の出雲大社から、8キロほど、峠を越えて美しい日本海に面した小さな村が、私の生まれ育った出雲市大社町鵜峠である。 隣の鷺浦地区と合わせて、鵜鷺(うさぎ)と呼ばれている。 713年に編纂が命じられたという『出雲国風土記』にも登場する歴史ある地である。】と答えた。

 『古事記』の『因幡の白兎』に登場する大国主命の現代的意義については、【医療の発祥:『最も剛毅なる者は最も柔和なる者であり、愛ある者は勇敢なる者である』とは、『高き自由の精神』を持って医療に従事する者への普遍的な真理であろう。『他人の苦痛に対する思いやり』は、医学、医療の根本である。】とさりげなく語った。 筆者は、島根県から遣島使(島根と全国との『人と文化の掛け橋』)を委嘱されているので、出雲大社については、講演会で紹介することにしている。 大変有意義な充実した貴重な授業『病理学概論』となった。



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