第340回 『科学的 & 哲学的』な思考 〜 『暇=日間=光が差し込む』 〜

 2023年8月20日【がん哲学外来白鷺メディカル・カフェ開設8周年記念:映画『がんと生きる言葉の処方箋』上映会&トークセッション】に赴く。事前に、代表の太田和歌子氏から『がん哲学外来を始めるきっかけは何ですか?』の質問を受けた。

 筆者は、若き日より、【内村鑑三(1861−1930)、新渡戸稲造(1862-1933)、南原繁(1889-1974)、矢内原忠雄(1893-1961)】の書物を、夜を徹して、精読したものである。 筆者は、『がん哲学』を2001年に提唱し、2005年に順天堂大学医学部附属順天堂医院で開設された『アスベスト・中皮腫外来』を通じて、『医療者と患者の対話』の重要性を認識し、【『がん研究で得られた科学的思考』を持って、『がんに哲学的な考え方を取り入れていくという立場』で『医療現場と患者の間にある「隙間」』を埋め、『対話の中で病気の不安や悩みの解消』を図る】ために、 2008年に『がん哲学外来』を始めることになった。


『矢内原忠雄記念 本郷通りカフェ』主催の『訪問看護ステーション』の看護師さんが、2016年に『樋野先生の相関図』を作成された。 大いに感服したものである。 矢内原忠雄は『本郷通りに、悩める学生の為に、カフェを開くのが、夢』を果たせずに、1961年12月25日に胃癌で逝去した。『がん哲学外来』を始めたきっかけは、『矢内原忠雄の夢の継承』の為でもあった。 『南原繁・矢内原忠雄』は、戦後の東大総長を務めた(12年間)。 筆者は19歳の浪人時代に、南原繁の教え子に邂逅し、今は、『南原繁研究会の代表』を仰せつかっている。 本当に、【『人生の邂逅』の不思議さ】を実感する今日この頃である。


『新渡戸稲造』は旧制第一高等学校校長時代、アパートを借りて、毎週木曜日午後、悩める学生たちのために、みんなが集まれる場所を提供した。 進路や勉学のことで『思い悩んでいる学生が 相談したくなるような懐の深さ、そんな魅力を持った人物』であったと言えよう。 【『がん哲学外来』での面談者に出す『言葉の処方箋』は、『内村鑑三、新渡戸稲造、南原繁、矢内原忠雄』から学んだ『人生哲学のエッセンス』=『暇=日間=光が差し込む』】でもある。

 


 


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