第312回 『器量』&『度量』〜『深くて簡明、重くて軽妙、情熱的で冷静』〜

 2023年4月7日 病理組織診断業務を行った。 帰宅したら【『樋野先生 ご無沙汰しております。 『日本肝臓論』に限らず、指針を見失いかけている今の日本に先生の『がん哲学』の論考が求められているように思います。』との心温まるメールが出版社の方から届いていた。 大いに感激した。 

『21世紀の徒然草』の2008年の文章【第77回『がん哲学外来の話』(小学館9月3日発行)― 深くて簡明、重くて軽妙、情熱的で冷静 ―】が、今回、鮮明に蘇って来た。 

【新渡戸稲造の生誕日9月1日(1862年)を記念して、今春の第2回『30年後の医療の姿を考える会』シンポジウムを記録した、『メディカルタウンの地方(ぢがた)学』(30年後の医療の姿を考える会編、to be出版)が刊行された。 前回『メディカルタウンの青写真を語る』に続いて、今回も東尾愛子さんの献身的な編集作業のおかげで、ユニークなカバーに装った本になった。―― 6日は、NHKの『文化講演会』で『がん哲学と新渡戸稲造 ― 日本肝臓論 ―』というテーマで講演の機会を与えられた。 折しも「福田首相辞任」の話題もあり、副題の『日本肝臓論』も『日本国のあり方』を考える時、現実味を帯びてきた(『われ21世紀の新渡戸とならん』イーグレープ刊2003年)】

と15年前に記述されている。

 多数のコメントを頂いたものである。【『がん哲学外来の話』、拝読しました。『深くて簡明、重くて軽妙、情熱的で冷静』勉強になりました。 考えるヒントにさせていただきます】の激励には大いに感動した。 思えば、日本学術会議の機関誌『学術の動向』(2001年1月号)に『癌哲学への道 ― 時と方法 -』(67-70ページ)を書いて、『癌哲学』を活字にしたのだが、現在、読みなおして見ても、内容的に何ら追加、修正は要しない。 勝海舟の『器量』 ― 目覚めよ! ― & 清水次郎長の『度量』 ― あるべき姿いでよ! & 新渡戸稲造の『国際性』 ― 具眼の士いでよ―。 とあるが、むしろ、ますますその必要性が出てきていると言えよう。 思えば、『30年後のーーを考える会』の言葉を提示したのは、16年前の2007年であろうか! 今年(2023年)は『われ21世紀の新渡戸とならん』20周年記念である!


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