第245回 教育の道しるべ 〜 心優しく、俯瞰的な人物の育成 〜

 2022年4月5日 恵泉女学園大学(多摩)に赴いた。 教職員と対談の時を持った。 大変貴重な日であった。

 翌4月6日、恵泉女学園中学校・高等学校(世田谷)の入学式に理事長として出席した。 午前中は、恵泉女学園中学校第 78回入学式であった。 中学1年生入学者は、201名であった。 「あなたが わたしを選んだのではない。 わたしが あなたがたを選んだ。 あなたがたが 出かけて行って 実を結び、その実が残るようにと、――、互いに愛しなさい。 これがわたしの命令である。」(ヨハネ15章16節、17節)。 校長、学園長、生徒会長の『お祝いのことば』には、大いに、感激した。 まさに、「人にしてもらいと思うことを、人にもしなさい」(ルカ6章31節)である。「悩める人々の慰め」となろう。 「ユーモア(you more)に溢れ、心優しく、俯瞰的な大局観のある人物」の育成訓練でもある。 まさに、「本質的な人間教育」の時代的要請である。

 午後は、高等学校の第77回入学式に出席した。 入学者は215名であった。 午前とは違う 校長の『お祝いのことば』にも、大いに、感動した。「喜びなさい。 あなたがたの寛容の心を、すべての人に知らせなさい。――、何も思い煩わないで、―ー」(ピリビ4章4〜6節)。 これは、新入生への「恵泉の教育を知る道しるべの一つとなるようにと願っています。」のメッセージである。

 現在、南原繁研究会の代表を務める筆者にとって、これまで学んできた南原繁の言葉【「高度な専門知識と幅広い教養」を兼ね備えている人物であり、『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む「具眼の士」』】は、まさに「言葉の処方箋」である。 人間は、自分では「希望のない状況」であると思ったとしても、「人生の方からは 期待されている存在」であると実感する深い学びの時が与えられている。「目的は 高い理想に置き、それに到達する道は 臨機応変に取るべし」(新渡戸稲造)の教訓が今に生きる。「すべてのことを働かせて 益としてくださることを、私たちは知っています」(ローマ8章28節)は、入学式の教育の原点であろう。

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