第240回 「新渡戸稲造イズム」〜 歴史を通して、現実の中に理念を問う「具眼の士」〜

 2022年2月27日午後、東久留米市(東久留米市スペース105に於いて)での、『がん哲学外来・カフェ』と『読書会』に出席した。 今回の『読書会』の箇所は、新渡戸稲造『武士道』(矢内原忠雄 訳;岩波書店)の第7章「誠」であった。 最初の1行は「信実と誠実となくしては、礼儀は茶番であり芝居である。」と訳されている。 まさに、時代を超えて生きる「言葉の処方箋」である。 筆者は、2007年から新渡戸稲造『武士道』と内村鑑三『代表的日本人』(鈴木範久 訳;岩波文庫)の『読書会』を、2008年から『がん哲学外来・カフェ』を毎月実施している。 今年は丁度『読書会』15周年である。 それぞれ何巡目であろうか! 何回読んでもその時々において、新鮮な学びが与えられている。 『読書会』15周年記念シンポジウムが企画される予感がする。

 2022年3月1日、昭和女子大学(東京都世田谷区)に赴いた。「昭和女子大学は、詩人である人見圓吉がトルストイの思想をもとに1920年に創立しました。人間文化学部などの6学部から成り、大学院は男女共学で2研究科があります。」と紹介されている。 理事長・総長の坂東眞理子 先生との面談後、キャンパスを案内して頂いた。 「こども園、小学校、中学校、高等学校、大学、ブリティシュ・スクール、テンプル大学日本校」もあり、キャンパスには、0歳の子供から、多国籍の生徒も多数居られ、大いに感激した。

 坂東眞理子 先生は、ベストセラー『女性の品格』(2006年発行;PHP新書)でも知られている。 同席された小島 明 氏(政策研究大学院大学医学理事・客員教授)から『コロナ禍で変わる地政学』(2022年発行;国際経済連携推進センター編)を頂いた。 また、山本史郎 先生(国際学部英語コミュニケーション学科特命教授)からは、対訳『武士道』(2021年発行;朝日新書)を謹呈された。

 今回は、「新渡戸稲造イズムの3カ条」の確認の時ともなった。

(1)世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見ていく

(2)「理念を持って現実に向かい、現実の中に理念」を問う人材の育成

(3)複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む「具眼の士」の種蒔き


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