第230回  生涯書生 〜 「高度な専門知識と幅広い教養」〜

 2021年12月21日 『柏がん哲学外来』に赴いた(柏地域医療連携センターに於いて)。

 


 1組、約60分で、3組の個人面談の機会が与えられた。 大変貴重な時であった。 終了後は、スタッフと2021年の思い出、2022年の企画の話などで、大いに盛り上がった。 その後、有明の武蔵野大学看護学部1年生の『病理学』の対面授業に向かった。 今回は、「人体病理学と実験病理学:病理学と臨床医学:診断病理学(病理診断、細胞診断)、病理解剖、ゲノム、個人差、遺伝性がん、細胞・組織とその障害:細胞の構造と機能、組織(上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織)、細胞障害、壊死とアポトーシス:壊死(凝固壊死、融解壊死、特殊な壊死)、アポトーシス、萎縮:生理的萎縮、無為萎縮、圧迫萎縮、再生医療(幹細胞、ES細胞、iPS細胞)」について、教科書を音読しながら100分の講義をした。 真摯な学生の態度に接しながら、大変充実した時間であった。

 2021年12月22日は、『新渡戸記念中野総合病院 がん哲学外来』(新渡戸稲造記念センターに於いて)であった。


 終了後、新渡戸記念中野総合病院の『訪問看護ステーション』に立ち寄った。 皆様の心優しい姿勢には感激した。 その後、第518回『新渡戸記念中野総合病院 新渡戸グローバルCPC』に出席した。 新渡戸記念中野総合病院・脳神経内科臨床部長、新渡戸新 脳神経研究室(新渡戸脳研) 室長で、順天堂大学客員教授(神経学講座)でもある内原俊記 先生が主催された。 今回は、「Lewy小体病」について学んだ。 本当に日々勉強である。

 筆者は、医師になり、すぐ、癌研究会癌研究所の病理部に入った。 そこで、病理学者であり、当時の癌研究所所長であった菅野晴夫 先生(1925-2016)との大きな出会いが与えられた。 菅野晴夫 先生の恩師である日本国の誇る病理学者:吉田富三(1903-1973)に繋がった。 吉田富三は日本国を代表する癌病理学者であり、菅野晴夫先生の下で、2003年、「吉田富三 生誕100周年」記念事業を 行う機会が与えられた。 必然的に『がん哲学』の提唱へと導かれた。 さらに、「陣営の外=がん哲学外来」へと展開した。 吉田富三は「顕微鏡を考える道具に使った最初の思想家」であり、「顕微鏡で見たがん細胞の映像から得た哲学」を実感した。 「病理学」は、顕微鏡を覗きながら、大局観を持つことが求められる分野でもある。 「がん哲学」は、「高度な専門知識(癌学)と幅広い教養(哲学)」を兼ね備えていることであり、「病理学者」は、『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む:「具眼の士」』である必要があろう。 まさに「病理学者」は生涯書生である。

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