第212回 ひとり、静まる時を持つ 〜 希望を生み出す 〜
2021年8月11日の目白カフェ5周年記念会(目白がん哲学外来カフェ代表 森尚子氏、目白町教会に於いて)での『樋野興夫先生 特別講演会:「にもかかわらず、笑う 〜 ほっとけ気にするな 〜」』に招かれた。 参加者から、「樋野先生の講演に初めて参加させていただきましたが、とても穏やかな語りが自然に心に沁みてきました。」、「樋野先生の柔らかな語り口、表情に、癒しと浄化で、心身共に爽やかな気持ちになりました。」、「参加して良かったです。 このような場があること、樋野先生とお話をしてくださった3名の方の言葉が胸に響きまくりでした。」などなど、心温まる多数のメールが、寄せられた。 大いに感動した。
2021年8月17日『がん哲学外来 メディカル・カフェ@よどばし』(淀橋教会に於いて)も赴いた。 会場で、<がん>、<コロナ>、<医学>、<人間関係> に関して、多数の真摯な質問が寄せられた。
『妹の子育てを見ていて、きつく当たっているように見えるので 何か言ってあげたいと思うのですが、余計なおせっかいに 取られそうです。「偉大なおせっかい」にしていくためには、どうしたらいいですか?』
『友人が、病の宣告を受けて抜け殻のようになってしまいました。 早く、先生のおっしゃる「病気であっても病人でない」「人生の目的は品性の完成」という気持ちになってほしいと願いますが、急がずできるだけ寄り添うようにしています。 これでよいでしょうか。 時々、もうずっとこのままなのではないかと 不安になります。』
「実家から離れて暮らしていて、ある時 地元の妹に 親の様子を見に行って来てほしいと頼んだら、カンカンに怒り始めてしまい、会話にならなくなりました。 こんな時どう頼めば、怒らせないことができるでしょうか?」
「コロナの中で、実際には一緒にいる事が出来なくても、一緒にいるような時間を持ち、コミュニケーションを育んでいくのに、何か心掛けたらよい事が あるでしょうか。」
「がん哲学外来メディカル・カフェの働きの中で、読書会をしているところがあると伺いました。 どのように 会を進めていらっしゃるのでしょうか。」
「先生が人生で重要なもの3つあげてください。 それぞれの理由を教えてください。」
『「先生の声は安心するのか、眠くなる声で、絵本を読んでほしいくらいです。」と、勉強中に生徒がウトウトしだすのですが、― ただでさえ 難しい授業内容で、学生が寝ないような工夫を何かされていますか?』
「娘がシングルマザーで、働きながら中学生の子供を育てています。 定期的に、卒業のお祝いや手紙を渡しても、以前渡した手紙に傷ついたからか、封をしたまま、孫が持って返ってくるし、新しく新築した家の敷居を 絶対にまたぎません。 娘が大変な時に、親の仕事の関係で、遠くに転勤になったことも、原因になっているようなのですが、親として、どうしたらよいでしょうか? どのように接したら良いでしょうか?」
などなどの質問に、筆者は、全力を尽くして答えた。 まさに、「忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出す」(ローマ人への手紙5章4節)であり、「ひとり、静まる時をもちましょう。」の実践である。 「やるだけのことはやって、後のことは心の中で、そっと心配しておれば良いではないか。 どうせなるようにしかならないよ」(勝海舟:1823〜1899) の言葉が、鮮明に蘇る日々である。