第203回 『病理学に学ぶ 〜 人間社会の縮図 〜』

 2021年6月14日、山梨大学医学部3年生の特別講義『人間社会の病理学 〜 賢明な寛容さ(the wise patience) 〜』に赴いた。  榎本信幸 先生(病院長)の「スケールの大きい胆力」には、ただただ感動した。  また、秘書の雨宮比呂子 氏(山梨大学医学部消化器内科)の「配慮」には、大いに感謝である。  『賢明な寛容性』は、新渡戸稲造(1862-1933)の精神である。  教育は、学生を『広々と品性』をもって、受け入れるものである。  「大学教育 = 人生邂逅の3大法則 = 良き先生、良き友、良き読書」であろう!  まさに、「教育とは、すべてのものを忘れたあとに残るもの」である。  大学の教育の重要性を実感する日々である。  今回は 別の部屋でも、職員の方も聴講されていたようである。  早速、分子病理学講座教授 範江林 先生から、「樋野先生 昨日はわざわざ山梨へお越しくださいましてありがとうございました。  素晴らしい講演会は大変勉強になりました。」との暖かい、励ましのメールを頂いた。  まさに、「分子病理学」の基軸は、『がん細胞は人間社会の縮図』である。


 沼口香織 氏(山梨大学医学部附属病院看護部管理室 がん相談支援センターがん放射線看護認定看護師)と、松土裕子 氏(山梨大学医学部附属病院 がん相談支援センター)は、筆者と同じ教室で、聴講されていた。  質問も頂いた。  真摯な姿には、大いに感激した。  早速、2人に『偉大なるお節介症候群』認定証を授与した。  山梨大学医学部附属病院でも『がん哲学外来・カフェ』が、開設される予感がする!  

 筆者は、『発がんの連盟的首位性 〜 Genotype, Phenotype, Dramatype 「適時診断と的確治療」〜』として、「初期条件がある範囲にあると、初期の変異が経時的変化とともに分子の相互作用によって、様々に拡大し、将来予測が不可能になる。  これは初期のわずかの変異で大きな効果が出ることを意味する。  非平衡状態にあり外部と相互作用する開かれた複雑系では、初期状態(Genotype)が同じでも、外部から、意識的に適時に介入すれば、ある特異点(Phenotype)で分岐し 多様性のある制御(Dramatype)が可能になるはずである。  病気は Dramatype なる故に、予防、治療が成立する。」と述べる。  また、将来、医師を目指す、医学生の授業の終わりでは、何時も

『医師の2つの使命』

(1)「学問的、科学的な責任」で、病気を診断・治療する→学者的な面

(2)「人間的な責任」で、手をさしのべる→患者と温かい人間としての関係

を語る。  本当に、有意義な、貴重な 心に残る『甲府の旅』であった。

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