第151回 「平原 vs 山嶽」 〜 「いろいろの意見を 努めて聴く」 〜
柏地域医療連携センターでの『がん哲学外来』の後、筆者は、順天堂大学 保健医療学部 診療放射線学科 でのZoom授業 3時限目『病理学概論』、4時限目『がん医療科学』に向かった。
学生から「学生時代にどの本を読めば良いですか?」とのユーモア(you more) 溢れる質問を頂いた。 真摯な学生の態度には、大いに感動した。 筆者は、内村鑑三 著『代表的日本人』(1908年)(鈴木範久 訳)& 新渡戸稲造 著『武士道』(1899年)(矢内原忠雄
訳)の2冊 を さりげなく紹介した。 思えば 筆者にとっては、2007年12月9日 インターナショナル スクール (CAJ) のキャンパスでの 読書会が 原点である。 今も、毎月 交互に、この2冊の 読書会を 継続している。今月は、内村鑑三
著『代表的日本人』である。 80歳代の元看護師が、担当とのことである。
内村鑑三 (1861-1930)も、新渡戸稲造 (1862-1933)も 英語で、それぞれ『代表的日本人』&『武士道』を
書いている。 驚きである。 英語で、日本(人)を 深く、広く、丁寧に 海外に紹介出来た人物は、『茶の本』を 英語で書いた岡倉天心 の 3人 ではなかろうか! この3人は、「英語力 と 教養」を備えた 明治以降の 日本が誇れる人物である。
学生時代に 英語版を読む習慣を身に付けることは、大変重要であろう! 「理念を持って 現実に向かい、現実の中に
理念を問う 国際人の育成」の実践の場 ともなろう!
今年から、新渡戸記念 中野総合病院でも 新渡戸稲造 著『武士道』(矢内原忠雄訳)の読書会が
開催される こととなった。 理事長 & 病院長の胆力には、ただただ感服である。 今日の箇所は、第2章『武士道の淵源』である。
担当は、事務局長
と 看護部長である。 「いろいろの意見を 努めて聴く」(新渡戸稲造)ことは、医療従事者にとっては、大切なことであろう! まさに、「偉大なる多様性
= 平原 vs 山嶽の違い」の学びである。「個性なき vs 個性溢れる」病院の違いは、今後の時代的課題となろう! 『病理学』とは、「風貌を診て、心まで診る」学問分野でもある。まさに「個性
と 多様性」の学びである。 筆者は、がん病理医として、「がん哲学」を始めたのは、 不思議でもあり、必然でもあったと、思う 今日この頃である。